SUP釣りは自由で始めやすいけれど、続けていくほど「落水が前提のアクティビティ」だと分かってくる。
特に危険なのは沖ではなく、実は岸際。風・波・うねり・潮・荷物…どれも単体では小さくても、重なると一気に危険へ傾く。
SUPの事故は派手なトラブルよりも、「小さな違和感」の積み重ねで起きる。
風が少し強い、波が普段より高い、岸際が揺れる…。その違和感を無視した瞬間、SUPは簡単に裏切る。
でも安心してほしい。
SUP釣りの安全は才能ではなく、正しい判断基準(OS)を積み重ねれば誰でも身につく技術だ。
この母艦記事では、出艇判断・落水・再上艇・風・波・潮・積載・装備まで、僕の一次体験を軸に“本当に使える安全ライン”を体系化した。
安全が整うと、釣果も安定し、海の景色が変わる。SUPは危険を排除したときにこそ、本当の楽しさが見えてくる。
SUP釣りの安全ラインとは?
SUP釣りの安全を考えるうえで、一番大事なのは「落ちる前提」で動くこと。
これは大げさではなく、実際に続けていると誰でも必ず“落水しかける瞬間”に出会うから。
特に危険なのは沖ではなく岸際。
SUPは波が乱れる場所ほど揺れが大きく、実際に僕が転覆しかけたのも、すべて岸から5〜10m以内だった。
だからSUP釣りは、朝マズメ〜午前の“風がおだやかな時間帯”が基本。
午後は風向きが変わりやすく、帰りの岸際が荒れることで一気にリスクが跳ね上がる。
落水前提、午前中中心、岸際が最危険——この3つを安全ラインとして持っておくだけで、SUP釣りの判断力は一段上がる。
出艇判断ライン:風速・波高・うねり

風速の目安(〜3mの“本当の意味”)
SUP釣りで最初の判断軸になるのが風速。
よく「3m以下なら大丈夫」と言われるけれど、実際には“3mは境界線”であって、安全圏ではない。
風速1〜2mの微風でも、風向きが岸→沖なら帰りがキツくなるし、岸際の押し波と合わさると転覆しやすい。
「3m以下だから出る」ではなく、「3mに近いほど警戒を強める」というのが正しい理解。
波高1mの危険度と周期の読み方
波高1mも一見「いけそう」に見えるが、SUPでは体感がまったく違う。
特に重要なのが“周期”。同じ1mでも周期6秒と11秒では別物で、短周期は連続で叩かれ、長周期は大きなうねりに変わる。
SUPは浮力が高いぶん、うねりに持ち上げられやすく、バランスを崩すと一気に落水につながる。
波高だけで判断せず、必ず「高さ×周期」でセットで見る。
うねりの方向と“危ない組み合わせ”
うねりは風と違い、遠くの海域から届く“遅れてくる波”。
危険なのは、岸へ向かううねり × 岸からの風の組み合わせ。
この2つが重なると岸際が乱れ、SUPが予想外の角度で傾く。実際に僕が転覆しかけたのも、このパターンだった。
出艇前は必ず「風向き」と「うねりの向き」を照らし合わせ、岸際の荒れが予測できるかが重要。
SUP釣りのフラッグ(安全旗)の必要性

SUPは目線が低く、ほんの少し波が立つだけで周囲から“完全に見えなくなる”。
特に沖では、ボート・プレジャー・釣船の視点から見ると、SUPは水面に溶け込むほど小さく見え、距離感すら掴みにくい。
だからこそ、安全旗(フラッグ)はSUP釣りの中でも最優先の装備。
ライフジャケットと同じレベルで命を守る役割を持つ。
他船からの視認性が10倍変わる
SUP本体の高さはわずか数十センチ。波の裏側に入ると、一瞬で見えなくなる。
反対に、フラッグは1.3〜1.8mの高さがあれば、波に隠れず「常に上に突き出す」形になる。
僕の経験でも、フラッグを付けてから明らかに船が“遠くを通るようになった”。
視認性が上がるだけで、海上のストレスは一気に減る。
事故リスクの9割は「見えない」が原因
SUPの事故原因の多くは、強風や波ではなく“視認されないこと”。
特に釣り船は一定速度で走ってくるため、相手が気づくのが1〜2秒遅れるだけで衝突の危険がある。
フラッグは「そこに人がいる」ことを遠くから知らせる唯一の手段。
見えれば避けられるし、見えないものは避けようがない。
SUP専用フラッグの理想の高さ・色
SUP釣りに最適なフラッグは以下の条件を満たすもの。
・高さ:1.3〜1.8m(波に隠れないギリギリのライン)
・色:オレンジ/蛍光イエロー(海上で最も目立つ)
・素材:風でしなり、折れにくいロッド素材
・取り付け位置:クーラー後方 or デッキ後方
特に色は重要で、海上では「黒・青・赤」は背景に溶けて見えづらい。
オレンジ系は昼・曇り・夕方でも視認性が落ちない。
風・うねり・船が多い海域での必須理由
神奈川・東京湾・相模湾のようにプレジャーボートや釣船が多い海域では、フラッグなしのSUPは本当に危険。
船が通るたびに波が入り、SUPは簡単に揺れるし、姿勢が低いと余計に見えづらい。
風が強い日、うねりがある日、船が多い日…こうした条件が重なるほどフラッグの必然性は増す。
どれか一つが軽くても、“重なった瞬間に事故の確率が跳ね上がる”のが海の特徴。
SUP釣りでは「見られること」が最大の防御。
フラッグはそのための最もシンプルで、最も効果の高い安全装備だ。
落水を前提にした装備(必須アイテム)

SUP釣りは「落ちないための工夫」ではなく、「落ちても大丈夫な装備」で安全が決まる。
風・波・うねり・船の引き波が重なると、どれだけ慣れていても落水の可能性は常にある。
だからこそ、“落水しても生きられる装備”を最初にそろえることが最重要になる。
固形式ライフジャケット(L1 / L2 / L3)

SUP釣りで使うライフジャケットは、迷わず固形式(発泡タイプ)一択。
腰巻きはSUPでは非推奨で、落水時に自動膨張しない・裏返らない・波で外れやすいという弱点がある。
安全基準は以下を目安にする。
・L1:最も安全。SUP釣りなら理想
・L2:釣り全般で十分安全。無難な選択
・L3:湖・穏やかな内湾向け。海のSUP向きではない
実体験として、SUPの落水時は思った以上に身体が回転し、瞬間的に上下が分からなくなる。
固形式はその“最初の1秒”を確実に支えてくれる。
リーシュコードは命綱
SUPのリーシュコードは、言葉の通り“命綱”。
風3m以上・うねりありの日に落水すると、板は想像以上の速度で流される。
1回でもリーシュなしで落ちたら、戻れずに漂流する。
最適な選び方は以下。
・コイルタイプ(釣りで邪魔になりにくい)
・足首ではなくふくらはぎ装着で絡まり軽減
・長さは7〜10フィートが扱いやすい
SUP釣りは片手がふさがる場面が多いため、リーシュはつねに“張れる位置”に付けておくのが安全。
防水スマホケースと連絡手段
海上ではスマホは必須の安全装備。
風が急変する・流される・パドルが折れるなど、トラブルはいつでも起こる。
防水ケースに入れて首から下げておくことで、落水してもすぐに連絡が取れる。
・操作しやすいタッチ対応ケース
・水没しても浮くタイプ
・ケースごと撮影できるタイプ(ログ用)
SUPは移動距離が長く、岸まで戻るにも時間がかかる。
通信手段の“即時性”は命に直結する。
偏光サングラスの保護効果
偏光サングラスは視界確保だけでなく、“目の装備”として重要。
SUPは目線が低く、波の反射が直撃する。
裸眼だと水面の白飛びや、飛沫・ルアー弾きで目を傷めるリスクが高い。
効果は以下。
・水面の反射カットで地形が見える
・魚やベイトの位置が分かる(釣果に直結)
・フック・飛沫・風から目を守る
・長時間の目の疲労を軽減
特に朝の逆光と夕方の低い太陽は危険度が高く、偏光の有無で安全度が大きく変わる。
SUPの積載バランスと“落ちない配置”
SUP釣りは、落水の7割が「積載バランスの崩れ」から起きる。
道具が多いほど重心が高くなり、波のタイミングで一気に傾く。
安定する積載の基本は以下。
・重いもの(クーラー・魚探バッテリー)は前方中央
・軽いもの(小物・飲み物)は足元寄りの後方
・左右対称に配置して重心を揃える
・ルアー交換などは沖数十mの安定した場所で行う
岸際は揺れが強く、積載が少し崩れただけで落ちやすい。
SUPは“落水する場所”も選ばないと危険が増える。
落水を前提に装備を固めることは、SUP釣りの安全の土台そのもの。
ここを整えるだけで、海の見え方と安心感がまったく変わる。
SUP釣りの再上艇マニュアル

SUP釣りは「落ちる前提」で考えるアクティビティ。
だから再上艇(再びSUPに乗る動作)は、釣りより先に覚えるべき“必須スキル”になる。
落水そのものは大きな問題ではない。問題は「戻れない状況」を自分で作ってしまうことだ。
落ちた瞬間にやるべき行動
SUPで落水した直後は、一瞬だけ上下感覚が分からなくなる。
驚くほど身体が回転し、想像以上に冷静さを失いやすい。だから最初の1〜2秒の動きが安全を左右する。
落ちたらまず以下を行う。
・パドルの位置を確認(失うと帰還不能)
・リーシュの張りを感じてSUPの方向を把握
・大きく焦らず、水平姿勢を確保する
・SUPの“側面中央”へゆっくり近づく
最初の1秒を落ち着いて動けるだけで、再上艇の成功率は一気に上がる。
再上艇ステップ(一次体験ベース)
僕自身が何度も落水→再上艇を繰り返して身につけた方法。
特別な筋力や技術は不要で、初心者でも確実にできる。
① SUPの側面中央に頭を寄せる
SUPの“真ん中”はもっとも安定する。前後にずれるほど再上艇は難しくなる。
② 両手でボード上の中央あたりをしっかり掴む
握る位置は広め。ここで浅く掴むと、再上艇中に手が滑る。
③ バタ足して身体を水平に浮かせる
再上艇のコツは体を「引き上げる」ではなく「水平に浮かせてボード上に滑り込む」イメージ。
身体が垂直のままだと絶対に入れない。
④ ボードを“自分に寄せる”イメージで腹から乗る
腕力ではなく、水平の浮力を使って腹を乗せる。
一気に板へ“倒れ込む”感覚がうまくいく。
⑤ 片ヒザ → 両ヒザ → 座る の順に安定に移行
いきなり立ち上がったりするとほぼ転ぶ。必ずヒザ立ちを挟む。
この5ステップを練習しておくだけで、再上艇は本当に簡単になる。
落水しやすい初心者の動きと対策
初心者に多い落水パターンには“共通点”がある。
それは「岸際で作業する」と「重心が高い積載」。
ここが崩れると、風や波が弱くても落水しやすくなる。
典型的な危険動作と対策は以下。
・岸際でルアー交換 → そのまま転覆
→ 必ず沖数十mの安定した場所で作業する。
・荷物を高く積む → ボードごと揺られる
→ 重い物は前方中央、軽い物は足元側に寄せて重心を低く。
・風上へ体を向けた瞬間にバランスを失う
→ 風を正面で受けず、常に斜め45°で受け流す。
落水自体は悪くない。
問題は「落ちやすい動きを無意識に選んでいること」。
ここを修正すると、転覆リスクはすぐ下がる。
ライジャケで上がりにくい理由と工夫
再上艇に苦戦する理由の9割は「ライジャケで浮きすぎる」から。
固形式は安全だが、その浮力が邪魔になって身体がボードに近づきにくい。
工夫は以下の通り。
・再上艇の瞬間は胸をボードに押し付ける意識で浮力を抑える
・身体を完全に水平にして浮力を進行方向へ逃がす
・手を“手前に引く”のではなく、ボードを自分に寄せる
ポイントは「浮力を殺す」ではなく「浮力の向きをコントロールする」こと。
これができると、ライジャケ着用でも簡単に乗り込めるようになる。
SUP釣りは落水が前提。
だから再上艇がストレスなくできれば、海への“怖さ”が一気に消え、釣りに集中できるようになる。
SUPの“波の読み方”

SUP釣りで最も事故につながりやすいのが「波の読み違い」。
風が弱くても、うねりが強い日、岸だけが荒れる日、ブレイク位置が普段より手前に寄っている日など、状況は毎回違う。
波を読む力は“慣れ”ではなく、原理を理解すれば誰でも身につく。
うねりと風波の違い
うねり=遠くの風が作った“海の呼吸”。
風波=今そこにある風が作った“表面の乱れ”。
同じ高さでも危険度は全く違う。
・うねりは周期が長く、見えづらいのにパワーが強い
・風波は表面が荒れるだけで、パワーは比較的弱い
SUPが最も不安定になるのは「弱風 × うねり強」の日。
海面は静かに見えても、足元だけ“グラッ”と揺れる特有の感覚がある。
手前が荒れる仕組み
岸に近づくほど波が急に盛り上がるのは、海底の地形で波が押しつぶされるから。
特に砂浜や緩やかな傾斜の場所では、沖が穏やかでも岸際が突然荒れる。
SUPが転覆しやすいポイントはここ。
・岸際は「浅瀬で波が起きやすい」
・返し波とぶつかり、二重の揺れが発生
・SUPの腹に波が入り、板が“縦に煽られる”
実際に僕も、沖では安定でも岸の5〜10mで何度も転覆しかけた。
SUPは「戻るときほど危険」という前提で動くべき。
岸のブレイク判断
ブレイク(波が割れる位置)は出艇判断の“核心”。
ここを見誤ると出るときも戻るときも危険が跳ね上がる。
ブレイク判断の基準は以下。
・白波が同じ位置で続けて割れている → そこが危険帯
・割れる位置が“岸に寄っている”日は初心者は出艇しない
・波がセットで「大→中→小」と繰り返す日は大きい周期が潜んでいる
特に“岸から数メートルで割れる日”は、SUPには最悪の条件。
僕の経験上、この状況は初心者は絶対に避けた方がいい。
沖数10mでのルアー結び運用
SUP釣りでは「ルアー交換は沖数10m」が絶対ルール。
岸近くで結ぶと、揺れ・引き波・浅瀬荒れで転覆率が跳ね上がる。
沖数10mの利点は以下。
・揺れが格段に安定する
・足元にスカスカの余白ができ姿勢が崩れにくい
・引き波の戻りと干渉しない
・風向きに対して板の角度を調整しやすい
SUPは“落ちる動き”が決まっている。
そのほとんどが岸に寄りすぎたときの作業中に起きる。
だからこそ、ルアー交換・ノット作業・タックル調整は、必ず沖数十10mの安定帯で行う。
これは経験上もっとも効果のある“落水防止策”だ。
船の引き波対策(転覆リスクNo.1)

SUP釣りで最も事故につながりやすいのが「船の引き波」。
うねりや風よりも圧倒的に予測が難しく、しかも一発で転覆する力がある。
沖にいるときほど油断しやすく、視界外から突然届くため、SUP初心者にとって“最大の脅威”と言える。
引き波の到達秒数を読む
船の引き波は、見えてから到達するまでタイムラグがある。
これを読めると安全度が一気に上がる。
・大型船:10〜20秒後に到達
・中型船:5〜12秒後に到達
・プレジャーボート:3〜8秒後に到達
経験上、SUPが最も危険なのは「3〜8秒で届く速い引き波」。
船が近くを通っていなくても、斜め後ろや死角からくることが多いので、船のエンジン音には敏感になっておく必要がある。
音が聞こえたら、まずは周囲の角度をざっと確認して、波の到達方向を推測する。
これだけで転覆率は大きく下がる。
横波・斜め波の危険性
SUPが最も弱い波の角度が「横」「斜めからの波」。
これらは板を完全にねじる力で、体の軸が一気に持っていかれる。
危険な理由は以下。
・横から当たるとSUPが“縦揺れ+横揺れ”の合成になりバランス不能
・斜め後ろは死角で、気づいた瞬間もう遅い
・引き波は波高より“ねじれの力”が強い
実際、僕が最も転覆しかけた場面は全て「斜め後ろからの引き波」だった。
波が見えたときには、もう角度を変える猶予がないのが特徴。
波をいなす正しい向き
引き波対策の基本は「正面で受ける」こと。
SUPは前後方向には強く、横方向には弱いという特性がある。
波をいなすときの理想角度は以下。
・波に対して板を正面またはやや斜め前へ向ける
・絶対に横向きにしない
・向きを変える余裕がない場合は、パドルで“支え”を作る
パドルはただ漕ぐ道具ではなく、SUPの「第三の脚」。
波に合わせてパドルを海面へ当てるだけで転覆率が大幅に下がる。
“一番ヤバい状況”の具体例
以下の組み合わせは、経験上SUP釣りで最も危険なパターンになる。
1. 船が見えない → でもエンジン音だけ聞こえる
2. 無風で海面が穏やか → 引き波だけ強烈に届く
3. 岸に戻ろうとして“横向き”になりがちなタイミング
4. 荷物が多くて重心が高い状態(タックル多めの日)
この組み合わせの日は、引き波が来た瞬間にSUPが縦に持ち上がって横に倒れる“ねじれ落水”が起きやすい。
実際に僕が最も危険を感じたのもこのパターンで、見えていなかった高速ボートの引き波が“3〜5秒”で到達し、SUPのノーズが一度空に向いた瞬間があった。
このとき助かった要因はただひとつ。
「即座に正面へ向けたこと」。
SUP釣りでは、波の高さより角度とタイミングが命を左右する。
引き波だけは、常に“最優先で警戒する対象”として扱うべきだ。
潮の読み方(潮位・干満・流れ)

SUP釣りは「風」と「波」だけで判断しがちだけど、実は潮が一番“静かに”SUPを危険に近づける存在。
潮は目に見えず、音もなく、ゆっくり効いてくるから判断を誤りやすい。
逆に言えば、潮だけ読めるようになると、安全も釣果も一気に安定する。
出艇前に絶対見るデータ
SUP釣りに必要な潮データは次の3つだけ。
1. 潮位(満潮・干潮の時間)
2. 潮位差(満潮と干潮の差)
3. 潮流の方向(上げ/下げ)
SUPの揺れ方・戻りやすさ・流され方は、ほぼこの3つで決まる。
特に初心者が最初に見るべきなのは、「満潮からの下げ始め」かどうか。
この時間帯は沖に引っ張られやすく、SUPが“じわじわ沖へ押し出される”ような感覚になる。
出艇判断は「風・波+潮」で初めて完成する。
潮位差が大きい日の危険性
潮位差が大きい=潮が強い。 これはSUP初心者が最も見落としやすいポイント。
潮位差が大きい日ほど、次のリスクが跳ね上がる。
・岸へ戻るときに“流れに逆らう”状況が起こりやすい
・SUPが意図せず横へ流れる(特に右→左の潮)
・岸際が荒れやすくなる(返し波と干渉)
・ブレイク位置が普段より外側にズレる
実際、潮位差の大きい日にSUPを出すと「今日は揺れの質が違う」と感じるはず。
SUPの底を右や左から“引っ張るような”独特の流され方になる。
沖での“潮の壁”の感覚
SUP釣りを続けていると、ときどき「急に板が重くなる場所」に出会う。
これがいわゆる“潮の壁”。
潮の壁とは、潮流の速度が急に変わる境目で、SUPが次のような挙動になる。
・急に進みづらくなる
・板の向きが勝手に“右か左”へ振られる
・海面だけ微妙にザワつく
・仕掛けが下に落ちにくくなる
SUPが最も危険なのは「潮の壁 × 風」の組み合わせ。
板が斜めに振られた瞬間、風で押されてコントロールが効かなくなる。
潮の壁に入ったら、無理に進もうとせず、少し角度を変えながら抜けるのが安全。
SUP釣り特有の流され方
SUPは波よりも潮に流されるアクティビティ。
特に意識すべきは、次の3つの流され方。
1. 横流れ(右→左 or 左→右)
→ 一番危険。SUPが斜めに立てられ転覆しやすい。
2. 前流れ(沖へ押し出される)
→ 戻りが重くなり、疲労で判断が鈍りやすい。
3. 岸際の“返し流れ”
→ 岸の5〜10mでSUPが不安定になる典型パターン。
SUP釣りの事故は、風よりも潮の影響を誤ったときに起きやすい。
だからこそ、潮流・潮位差・干満の動きを“出艇前に必ず”確認しておくべき。
潮が読めるようになると、海が驚くほど“穏やかに見える日”と“絶対に出てはいけない日”の違いが明確になる。
SUP釣りの安全は、潮の理解から大きく前進する。
SUP釣りで絶対にやってはいけない危険行動

SUP釣りの事故は「大きな判断ミス」ではなく、「小さな無理」を積み重ねたときに起きる。
海は優しい日もあるけれど、条件が少しズレた瞬間に簡単に裏切ってくる。
“これは絶対にやらない”というラインを持つだけで、安全度は劇的に上がる。
風向きの誤読
SUPの危険行動No.1が「風向きを軽く見ること」。
風速よりも、風向きの方がSUPの安全性に直結する。
・岸から沖へ吹く「オフショア」は最も危険
・横風(サイドショア)は転覆率が一気に上がる
・風が“回り込む地形”では急変しやすい
初心者は「風向きが変わる予報の日」は基本的に出艇しないこと。
海は風向きが変わる瞬間に条件が激変する。
“戻れない風”で粘る
SUP釣りで最も危険なのが、「帰りに向かい風を食らう」状況。
無風で出ても、帰る頃に風が上がることはよくある。
戻れない風とは、次のような状態。
・風速4〜5mでも向かい風になると体感は倍
・漕いでも進まず、板が横に振られ続ける
・焦りで体力を一気に消耗する
一番危険なのは「少しならいけるだろう」という粘り。
SUPは焦ると本当に操作できなくなる。
二つの波がぶつかる場所の進入
海には時々、「反対方向のうねり同士がぶつかる帯」ができる。
ここはSUPが最も不安定になる場所。
・足元だけが突然“抜ける”ような揺れ
・板が左右に細かくシェイクされ続ける
・波のタイミングが読めない
この帯に入ると、体幹が強い人でもバランスが崩れる。
特に、風と潮が逆向きの日はこの現象が出やすい。
海面がザワつき、波紋がランダムに見える場所には絶対に入らない。
夜間SUP
夜間のSUPは想像以上に危険。
視界・距離感・波の方向・風の変化、すべての認知が大きく落ちる。
僕自身、夜釣りの堤防では数多くの危険を体験したが、それは海の上ではさらに増幅される。
・波の白さが見えない → 高さが分からない
・引き波の方向が読めない
・向かってくる船が見えない
夜間SUPは「出艇禁止レベル」。
どれだけ上級者でも、夜の海は味方にならない。
単独での荒れ気味海域
「ちょっと荒れてるけど行けるか…」と思った日は、だいたい危ない。
特に単独行動はSUP事故の大半を占める。
荒れ気味海域の危険要素。
・岸波が強く戻りが不安定
・風が一定ではなく“吹き返し”が起きる
・うねりのパワーが読みにくい
・助けてくれる人がそもそもいない
SUP釣りを続けると、「出られる日」と「出ない方がいい日」が自然に分かってくる。
でも初心者こそ、最初から「少し荒れ気味なら行かない」という基準を持っておくと事故を確実に遠ざけられる。
海は逃げない。 今日ダメなら、明日出ればいい。
安全な準備の流れ(朝の30分ルーティン)

SUP釣りは「朝の準備」がその日の安全を決める。
焦って準備すると忘れ物が増え、積載ミスで重心が不安定になり、岸際での危険行動につながりやすい。
逆に、30分だけ落ち着いて準備するだけで、安全性も釣果も一気に安定する。
電動ポンプ → 小物 → 積載の順が最適
最も事故が少なく、作業がスムーズになる順番はこれ。
1. 電動ポンプでSUPを膨らませる
2. その間に小物(飲み物・スマホ防水ケース・偏光)を準備
3. SUPの積載位置を整える
SUPを膨らませている時間は“手が空く”ので、小物の準備を同時に済ませると効率が段違い。
この順番にするだけで忘れ物が激減し、出艇前の精神的な余裕が生まれる。
沖数10mでルアー結び
岸際はSUP釣りで最も危険な場所。
波の返しが強く、足元の揺れが大きいので、ライン作業は岸ではなく沖数十mで行うのが安全。
・岸は常に波が入り乱れるため、手元の作業が乱れやすい
・タックルを海に落としやすい
・落水率が最も高いのも岸際
沖へ出ると揺れが安定し、SUPが“落ち着いた台”になる。
ラインを結ぶなら、必ず沖に出てから。
積載位置を固定化する重要性
SUP釣りは毎回積載位置を変えると、重心がズレて不安定になる。
積載位置を完全に固定化すると、安全性が驚くほど上がる。
実体験からの最適配置は以下。
・クーラー:前方(足元の少し前)
・小物入れ:右前
・パドル:左固定
・タモ:右側(手で届く場所)
・飲み物:足元後ろ
この配置にすると、立ち/座り/漕ぎ/ファイトがすべて安定する。
何より、「どこに何があるか考えなくていい」のが大きなメリット。
SUPは“装備を減らすほど安全になる”理由
SUP釣り初心者の9割が「荷物を持ちすぎて危険になる」ルートを辿る。
SUPは“落水前提”のアクティビティなので、装備が多いと転覆時のリスクが跳ね上がる。
装備が多いほど危険になる理由。
・重心が高くなる → 立った瞬間にフラつく
・落水時に荷物が散乱して再上艇が難しくなる
・積載の幅が広がり、パドルワークが干渉する
・準備が遅くなり、焦りが生まれる
SUP釣りでは「荷物=安心」ではなく「荷物=危険」に変わる。
装備を減らすことが、そのまま安全性と釣果の両方を底上げする。
SUP釣りの安全チェックリスト(総まとめ)
ここまでSUPは怖くて危険なアクティビティだと何度も伝えてきたけれど、しっかり準備して、正しい判断で海に出れば景色はまったく別のものになる。
誰も踏み入れていないような静かな海面、初めて出会える魚たち、足元から体まで伝わる波の振動——その全部が、日常には戻れないくらい強い“かけがえのない経験”になる。
危険を知って、対策をして、そのうえで海に出る。
それだけでSUP釣りは、ただの趣味から“人生の景色を変える体験”に変わる。
出艇判断
出艇判断の核心は「迷ったら出ない」。
これは経験者ほど徹底している暗黙ルールだよ。
SUPは“落ちるのが前提”のアクティビティだから、風・波・潮を総合して、少しでも違和感があれば海に出ないのが最適解になる。
特に初心者は、風速3m以下・波高1m以下・ウネリ小の条件が最低ライン。これを超えると操作が難しくなるだけでなく、精神的にも余裕を失いやすい。
風・波・潮
SUP釣りは風向き・風速がすべてを決める。追い風(岸→沖)なら最悪帰ってこられない。
波は“高さ”より“周期”が危険度を決めるから、周期が短い荒れた波は特に注意。岸際で波が重なる瞬間は転覆率が跳ね上がる。
潮は「干潮から上げ」「満潮前後」が動きやすい。出艇前に潮位と潮位差を必ず見て、流れの強い日(潮位差大)は無理をしない。
装備
SUPは“装備を減らすほど安全になる”のが本質。余計なものは落水時の凶器になり、再上艇の妨げにもなる。
必須装備:固形式ライフジャケット/リーシュコード/パドル(落下防止)/防水スマホケース
準必須:安全フラッグ/最低限の釣り道具(TGベイト60gなど)
あると便利:小型クーラー/偏光サングラス/魚探/ランディングネット/マリンシューズ
積載
毎回同じ位置に積むのが安全の基本。積載位置が固定化されると、準備が速くなるだけでなく落水率も大きく下がる。
参考例:クーラー前、小物右前、パドル左固定、タモ右側、飲み物足元後ろ — このように「自分の型」を持つこと。
バランスが崩れると、波を横から受けたときに一気に不安定になる。積載は安全の根本だよ。
帰還判断
SUP釣り最大の失敗パターンは「帰る判断を遅らせること」。
特にショア(岸)からの強風が吹いた瞬間は、釣れていても即帰還するのが正解。沖から岸へ戻るには、向かい風が一番体力を削る。
帰還ラインは「風速3→4→5m」で危険度が段階的に上がるイメージで、4mに入ったら迷わず終わりにしてOK。
自然は急変するから、少し余裕を残して帰ることが最高の保険になる。
素人だけど、検証して最適は選ぶ。
