冬のSUPは、基本的に「落水しない前提」で組み立てている。
無理をしない。
状況が悪ければ出ないし、少しでも危うさを感じたら早めに上がる。
それでも、装備として「濡れない」状態を作れているかどうかで、
海の上で感じる精神的な余裕はまったく違ってくる。
- 万が一水をかぶっても不安にならない
- 冷えを気にせず集中できる
- 判断を急がずに済む
これは快適さの話というより、
安全側に思考を寄せられるかどうかの差だと感じている。
実際に冬のSUP釣行で使ってみて、
条件付きではあるけれど、きちんと成立した装備構成を、
事実ベースで淡々と記録していく。
今回の冬SUP装備構成(結論だけ先に)

この記事で紹介している冬SUPの服装は、
ドライスーツ(レイブンパンツ)を下半身に採用した前提で組み立てている。
実際に成立した装備構成は以下の通り。
- 下半身: レイブンパンツ(パンツ単体のドライスーツ)
- ベース: メリノウールのアンダーシャツ
- 中間層: Tシャツ
- 通気層: 透湿性の高いロングシャツ
- 最外層: レインジャケット(防風・防水)
「厚着で耐える」のではなく、
濡れない・風を遮る・透湿性(蒸れない)を最優先にした構成。
以降では、
この装備がどんな条件で成立し、
どこまで通用したのかを順に整理していく。
冬SUPの前提条件|この服装が成立するライン
まず最初に、この服装が万能解ではないことをはっきりさせておく。
今回紹介している冬SUPの装備構成は、
明確な前提条件の上でのみ成立している。
- 落水を前提にしていないこと
- SUP釣りにある程度慣れていること
- 無理をしない判断ができること(早上がり・中止を含む)
特に重要なのが、「落水前提ではない」という点。
冬の海で落水を想定したSUP釣りは、
危険度が一段階ではなく、はっきりと跳ね上がる。
だからこそ、
- 風が出たら無理をしない
- 波が合わなければ出ない
- 少しでも違和感があれば早めに上がる
こうした判断を感覚ではなく、経験として持っているかが重要になる。
SUP釣りが初めて、あるいはまだ経験が浅い場合は、
冬から始めるのはおすすめしない。
まずは暖かい季節に、
- 何度も落水する
- 再乗艇に慣れる
- 風や波の変化を体で覚える
そうやって「失敗できる環境」で経験を積んでから、
冬のSUPに進む方が、結果的に安全で長く続けられる。
この服装は、
「慣れている人が、無理をしない前提で使う装備」だ。
その線引きを理解した上で読んでもらえたらと思う。
冬SUPの上半身レイヤリング全体像
冬SUPで採用した上半身の構成は、
4レイヤー構成。
ただし考え方としては、
「とにかく厚着する」ではない。
優先したのは、
- 濡れないこと
- 風を遮ること
- 動き続けても蒸れにくいこと
SUP釣りは、基本的にパドルを漕いでいる時間が長い。
止まってじっと耐える釣りではなく、
常に体を動かし続ける釣りだ。
だから冬でも、
過剰な保温より「調整しやすさ」を重視した。
結果として選んだのが、
- 一番下で汗処理をするレイヤー
- 体温を安定させる中間層
- 空気層を作る軽いシャツ
- 風と水を遮る最外層
この4層を薄く重ねる構成。
厚着をしなくても、
濡れない+風を防ぐという前提ができるだけで、
体感温度は大きく変わる。
冬SUPでは、
「寒さに耐える」よりも、
余計な消耗をしないことの方が重要だと感じた。
レイヤー①|メリノウールのアンダーシャツ
一番下に着たのは、
メリノウールのアンダーシャツ。
冬SUPでは、
まず「ベースをミスらない」ことが何より重要だと思っている。
理由はシンプルで、
ここが崩れると、その上に何を重ねても快適にならないから。
- 汗をかいても冷えにくい
- 濡れ戻りが少ない
- 長時間着続けても不快感が出にくい
SUP釣りは、
止まっている時間よりも動いている時間のほうが長い。
その分、
「汗をどう処理するか」が快適さを大きく左右する。
メリノウールは、
汗をかいても一気に冷えにくく、
体温の上下動をかなり穏やかにしてくれる。
結果として、
寒さも暑さも感じにくい状態を長く保てた。
冬SUPでは、
一番下を間違えないことが、ほぼ勝ち。
その意味で、
メリノウールのアンダーシャツは、
この日の装備の中でもかなり重要な役割を担っていた。
レイヤー②|Tシャツを挟む理由
メリノウールの上に、
あえてTシャツを1枚挟んだ。
一見すると不要に思える構成だけど、
冬SUPではこの1枚がかなり効いてくる。
まず、
メリノウールの上に直接ロングシャツを着ない理由。
ベースレイヤーの上にすぐロングシャツを重ねると、
行動量が多い状況では温度調整の幅が狭くなりがちになる。
- 暑くなったときに一気に抜けない
- 逆に止まったときに冷えを感じやすい
Tシャツを1枚挟むことで、
この「調整のクッション」が生まれる。
SUP釣りは、
パドルを漕いで体を動かしている時間が長い。
だからこそ、
保温よりも温度の振れ幅を小さくすることが重要になる。
Tシャツは、
防寒のためというより、
温度をならすための中間層。
暑くなりすぎず、
冷えすぎもしない。
結果として、
上半身の状態を「ずっと普通」に保ってくれる。
冬SUPでは、
厚着よりも、
細かく調整できる構成のほうが圧倒的に楽だった。
レイヤー③|透湿性の高いロングシャツ
3枚目に着ているのは、
透湿性の高いロングシャツ。
ここで重要なのは、
防寒目的ではないという点。
このレイヤーの役割は、
中で発生した湿気を外へ逃がすことにある。
冬SUPは寒いけれど、
実際にはパドルを漕ぎ続ける時間が長く、
上半身は想像以上に汗をかく。
そのとき、
湿気がどこかで滞留すると、
一気に不快になる。
- 蒸れた感じが残る
- 止まった瞬間に冷える
- 集中力が削られる
だからこのロングシャツには、
「暖かさ」よりも、
抜けの良さを求めている。
厚手である必要はまったくない。
むしろ、
軽くて、動きを邪魔せず、
湿気を溜め込まない素材のほうが相性がいい。
このレイヤーがしっかり仕事をしてくれると、
次のアウターが本来の性能を発揮しやすくなる。
冬SUPの快適さは、
この「湿気処理」の段階でほぼ決まると感じている。
レイヤー④|レインジャケットという選択
最外層には、
レインジャケットを使っている。
ここで強調しておきたいのは、
「このスペックで十分だった」という事実。
今回使ったジャケットの目安は、
- 耐水圧:20,000mm 前後
- 透湿性:10,000g/m²/24h 前後
正直、
「冬SUPだからもっと高性能じゃないとダメかも」と思っていた。
でも実際に使ってみると、
水飛沫・風・軽い雨に対してはまったく問題なく、
浸水も感じなかった。
特に効いたのは、防寒というより防風性能。
濡れた状態で風を受けると体力を一気に削られるけれど、
レインジャケットが風を止めてくれるだけで、
体感温度はかなり安定した。
一方で、
これは「この性能で十分だった」という話であって、
もっと良いものを否定するわけではない。
特に、
- 汗をかきやすい人
- 行動量が多い人
- 蒸れに強い不快感を感じやすい人
こういうタイプなら、
透湿性がさらに高いモデルを選ぶのも全然アリだと思う。
僕自身は、
汗っかきでもなければ、極端に汗をかきにくい体質でもない。
その前提では、
このくらいの透湿性でも蒸れはほぼ感じず、
冬SUPでは十分に快適だった。
重要なのは、
「ドライスーツ代わりにする」ことではなく、
- 水を通さない
- 風を止める
- 中のレイヤーを安定させる
この役割を、
自分の体質と行動量に合った性能で満たすこと。
レインジャケットは、
この4レイヤー構成を完成させるための、
「最後のフタ」だと考えている。
手元装備|濡れても暖かいクリマプレン手袋

服装に加え手元の装備も併記しておく。
手が濡れて冷えると、
ルアー交換も結び直しも億劫になり、
気づけば釣りそのもののテンポが崩れてしまう。
そこで使っているのが、
モンベルのクリマプレン手袋(指先3本出しタイプ)。
この素材は、濡れた状態でも保温力が落ちにくく、
風が当たっても冷えにくい性質がある。
SUPのような“濡れる+風が強い”状況にとても向いている。
特に実感したのは、
濡れても暖かさが続くことと、
風で痛くならないところ。
SUPでは、波や霧のような水飛沫がかかる場面が多い。
普通の防寒手袋だと一度濡れると感覚が一気になくなるが、
クリマプレンの場合は水を含んでも冷えにくく、
手の感覚を保ちながら操作が続けられた。
しかも、この手袋は親指・人差し指・中指が出せる仕様なので、
ルアー交換やスナップの付け外し、
細かい結びやリール操作など、手袋を外さずに作業できるのも大きい。
冬のSUP釣りでは、上半身や下半身の装備と同じく、
手元の装備を成立させることが、安全と快適さの両方につながる。
だからこの手袋は、冬SUPにおける“末端装備の基準”として、
かなり有効な選択肢だと感じている。
実釣条件と体感|気温4〜9℃・風1.5〜2mでどうだったか
今回この服装で冬SUPをした日の条件は、
- 気温:およそ 4〜9℃
- 風速:1.5〜2m 前後
数字だけ見ると、
冬SUPのスタンダードな条件だと思う。
朝の冷え込みと、
海上で風を受け続けることを考えると、
装備が合っていないと一気に体力を削られる日だった。
実際の釣行時間は半日ほど。
SUP釣りは、
止まっている時間よりも、
パドルを漕いで動いている時間の方が圧倒的に長い。
その状態で使ってみて、
寒さを強く感じる場面はほとんどなかった。
同時に、
蒸れて不快になる感覚もほぼなし。
「寒くないけど蒸れる」
「蒸れないけど冷える」
冬の装備で起きがちなこのズレが、
今回はほとんど出なかった。
理由はシンプルで、
この服装が動き続ける釣りを前提に組まれているからだと思う。
- 濡れない
- 風を遮る
- 汗は内側で処理する
この前提が揃っていると、
「寒さ対策をしている」という意識そのものが薄くなる。
結果として、
釣りに集中できる時間が長くなり、
体力的にも精神的にも余裕を持って動けた。
少なくとも、
気温4〜9℃・風1.5〜2m程度なら、この構成で十分成立する。
これが今回の、
一番わかりやすい実釣結果だった。
なぜこの構成で成立したのか
今回の冬SUPで強く感じたのは、
この服装が「保温」を目的にしていない、という点だった。
意識していたのは、
- 濡れないこと
- 冷やさないこと
暖かくする、ではなく、
体温を奪われる要因を減らすという考え方。
冬の海では、
体が冷える原因の多くは「低温」そのものではなく、
- 水に濡れる
- 風を受け続ける
この2つが重なったときに一気に進む。
今回の構成では、
下半身はレイブンパンツで完全に水を遮断。
上半身も、
レインジャケットで水飛沫と風を確実に止めている。
結果として、
「冷える入口」そのものをかなり減らせていた。
もう一つ大きかったのが、
風を遮ることの効果。
濡れていなくても、
冬の海で風を受け続けると体力は確実に削られる。
今回の装備では、
風が当たっても体温が奪われる感覚がかなり小さかった。
これは、防寒着を重ねるよりも、
はっきり体感差が出る部分だった。
冬SUPは、
釣りそのものよりも、
「海上で体を維持する時間」が長い。
だからこそ、
装備次第で体力消耗の差が非常に大きくなる。
今回の構成は、
無理に暖めるのではなく、
消耗を抑える方向に振り切った。
その結果、
半日という時間でも余裕を持って動き続けることができた。
落水前提の装備と、今回の構成の決定的な違い
ここは、はっきり線を引いておきたい。
今回の服装構成は、
落水しない前提で成立している。
逆に言えば、
落水を前提にするなら、装備の考え方はまったく別になる。
一般的に、
ウェットスーツやフルドライスーツが必要になるのは、
- 落水の可能性が高い状況
- 再乗艇を繰り返す前提の釣り
- 波・うねりが安定しない海況
- SUP経験が浅く、姿勢がまだ安定しない段階
こういった条件が重なる場合だ。
この場合、
「濡れない」ではなく、
濡れても生存できる装備が必要になる。
一方で、今回の構成は、
- 落水しない操作前提
- 無理をしないポイント選び
- 早上がり・撤退を常に視野に入れる判断
こうした行動判断とセットで成立している。
つまり、
装備だけを真似しても意味がない。
この構成が通用しないのは、
- 「今日は落ちるかも」と思いながら出る日
- 荒れ始めても粘ってしまう釣行
- 冬SUPにまだ慣れていない段階
こういうケースだ。
特に冬は、
一度水に落ちた時点で、
リカバリーの難易度が一気に跳ね上がる。
冷水・風・体力消耗が同時に襲ってくる。
だからこそ、
冬に落水前提でSUP釣りをすること自体が、かなり危険度の高い行為だと思っている。
初めてSUP釣りをする人は、
必ず暖かい季節から始めたほうがいい。
落水しても問題ない環境で、
何度も落ちて、何度も戻って、
体で慣れる。
その経験があって初めて、
「落水しない前提」という判断が現実的になる。
今回の構成は、
経験・判断・撤退ラインが揃って初めて意味を持つ装備だ。
手元・末端装備の重要性(軽く触れる)
• 冬SUPでは手の冷えが集中力を奪う
• ここから手袋レビューへの自然な導線
• ※詳細は別記事へ内部リンク前提
レイブンパンツとの組み合わせ前提で完成する

今回の冬SUP装備は、
下半身が完全にドライであることを前提に成立している。
ここが崩れると、
上半身のレイヤリングも一気に意味を失う。
冷えは下から回り、
一度濡れた下半身は、体温を奪い続ける。
だからこそ、
レイブンパンツで「濡れない下半身」を先に作った。
その上で、
上半身は「防寒」ではなく、
濡れない・風を遮る・蒸れを逃がすという役割に絞って組み立てている。
上下で思想を揃えると、
装備は不思議なくらいシンプルになる。
厚着は不要で、
我慢も必要ない。
実際、今回の条件(気温4~9℃・風あり)でも、
この上下の組み合わせで最後まで余裕を持って行動できた。
この構成の核になっているのが、
パンツ単体ドライスーツという選択だ。
レイブンパンツについては、
実釣ベースで詳しくまとめている。
まとめ|冬SUPの服装は「思想」より「成立した事実」

今回の冬SUP装備は、
特別なことをしているわけではない。
極端な防寒装備でもなく、
最新ギアを詰め込んだ構成でもない。
ただ、
条件を守ったうえで、実際に成立した。
落水しない前提。
無理をしない判断。
風と水を遮る装備。
このラインを外さなければ、
冬SUPは「耐える釣り」ではなくなる。
逆に言えば、
装備を間違えると、
同じフィールドでも難易度は一気に跳ね上がる。
冬SUPは、
腕よりも、
装備で体力と余裕が決まる釣りだと感じている。
素人だけど、検証して道具は選ぶ。
