クーラーボックスって、正直「どれが一番冷えるのか」が分からないまま買いがち。
ぼく自身もずっと適当に選んで失敗してきたから、手持ちの8種類を使って同じ条件で12時間の比較テストをした。
キャンプ場や釣り場って温度も湿度も一定じゃない。
今回のテストも完全に一定ではなかったけど、むしろそのほうがリアルなアウトドア環境に近かった。
その結果、意外な差がはっきり出た。
・「保冷力が強い=万能」ではない
・小型クーラーは“氷1本”だと大型より強い場面がある
・大容量は条件によってむしろ不利になる
さらに、実際の使用で感じた使いやすさ・重さ・見た目・ストレス・所有感など、数字では見えない部分もあわせて整理している。
この記事では「どれが最強か?」ではなく、「あなたの用途ならどれが最適か?」を最短で判断できるようにまとめている。
この記事で分かること
- 氷1本で分かる本当の保冷性能
- 大容量クーラーが不利になった理由
- 小型発泡クーラーが驚きの結果を出した背景
- 結露の有無で分かる断熱特性
- 用途別に「最適なクーラー」が全く違う理由
- 見た目・重量・可搬性・心理負荷まで含めた実用比較
- 電源あり(ICECO)と電源なしの違い
- 「保冷力だけで選ぶと失敗する」理由とその対策
今回比較した8つのクーラーの一覧

今回の比較では、タイプも容量もまったく違う8種類を同じ条件で並べて検証した。
特徴は「ハード・ソフト・真空断熱・電源あり(冷蔵庫)」が混在していて、実際のアウトドアで起きる“クーラー選びの迷い”をそのまま再現できる構成になっている。
1. CHUMS スチールクーラーボックス 54L
・容量:54L
・タイプ:ハード(スチール製・大型)
2. TITAN Collapsible Rolling Cooler 23.7QT
・容量:23.7QT(約22.4L)
・タイプ:ソフト(折りたたみ・キャスター付き)
3. ICECO APL20 ポータブル冷蔵庫(20L)
・容量:20L
・タイプ:電源式ポータブル冷蔵庫
4. SHIMANO フリーガ ベイシス 200
・容量:20Lクラス
・タイプ:ハード(釣り用)
5. PEACOCK クーラーバケット IGN-100(9.5L)
・容量:9.5L
・タイプ:真空断熱ハード(バケット型)
6. CHUMS キャンパークーラー 9L
・容量:9L
・タイプ:ハード(軽量・キャンプ向け)
7. ツリノ (Tsulino) ランガンサーフクーラー80
・容量:長物対応サイズ(表記80)
・タイプ:ソフト(ランガン・SUP向け)
8. DAISO 発泡クーラーBOX(4.8L)
・容量:4.8L
・タイプ:発泡(超軽量・200円)
容量・構造・想定シーンが大きく違う8種を横並びにすることで、それぞれの“強みと弱み”がより明確に見える比較となった。
実験方法:現実使用を最も近い条件で再現

今回の比較は「完璧な恒温室」ではなく、実際のアウトドアに近い条件で行った。
暖房のオン/オフで室温が上下したり、湿度が変わったり──現場では当たり前の“ブレ”をあえてそのまま残している。
そのほうが、読者が普段使う環境に近く、保冷力の違いがより正確に見えるからだ。
同時刻スタートで8つのクーラーを並べ、すべてに同じ条件の「凍らせたペットボトル氷(1本)」を投入し、12時間の比較テストを行った。
計測条件
- 計測時間:12時間
- 室内温度:20〜24℃
- 3時間ごとに庫内温度を測定(0h / 3h / 6h / 9h / 12h)
- 氷の状態は「最初」と「12時間後」だけ確認(途中は庫内温度のみ)
- クーラーはすべて同じ部屋で同時テスト
- 室温・湿度は同じタイミングで全クーラー共通値を記録
- ICECOのみポータブル電源の残量も記録
- 100均アナログ温度計を8個使用 → 初期値のズレは「オフセット」として補正に使用
今回の環境が“あえて最適”な理由
室温が途中で動くと、一見すると「精度が落ちる」と思いがちだが、実際は逆。
外気変化に対してどのクーラーが影響を受けやすいか/受けにくいかが如実に出る。
つまり、実戦フィールド(夏の車内・キャンプ・SUP釣行・真冬の外気変化)に最も近い比較になる。
容量差が不利になる理由と、それでも意味がある理由
“同じ氷1本”という条件は、大容量クーラーにとっては明確に不利。
54Lや20Lの大型クーラーは、そもそも氷の比率が低く、冷気が回りにくい。
逆に、小型の4.8L・9Lあたりは氷と空間が近く、保冷効率が非常に高くなる。
でもこの不公平さこそが実用的で、 「1泊キャンプでは大容量が有利」 「短時間用途では小型が圧勝」 という“場面ごとの最適解”が浮き彫りになる。
結露の有無の記録
今回唯一、Tsulinoランガン80だけ結露が発生。
これは断熱材の薄さによる外気とのギャップが理由で、「短距離ランガン向け」という位置づけを裏付ける結果になった。
ICECO(電源ギア)の計測項目
- 庫内温度(−14℃が安定)
- 3時間ごとのバッテリー残量(100% → 86% → 72% → 57% → 44%)
- 設定は −20℃(ただし実測 −14℃だった)
電源ギアはやはり圧倒的で、外気変化の影響をほぼ受けず、最後まで氷が100%残っていた。
12時間保冷テストの結果まとめ(結論だけ先出し)
まずは細かいグラフの前に、「結局どれがどうだったのか?」という結論だけ先にざっくりまとめておく。
室温はおおよそ20〜24℃のあいだを上下する環境で、凍らせたペットボトル1本を入れて12時間放置した結果だ。
一言でまとめると、「真空断熱バケツが圧勝、小型発泡は条件次第で最強、大型クーラーは氷1本だと不利、電源クーラーは別世界」という感じになった。

保冷力トップ3(電源なしクーラー部門)
電源なしのクーラーだけで12時間後の庫内温度を並べると、こんな順位になった。
- PEACOCK クーラーバケット 9.5L → 約9℃キープ、氷はほぼ95%残存。数字だけ見ても別格だった。
- DAISO 発泡クーラーボックス 4.8L → 約11℃、氷も50%残。小型+発泡の組み合わせがかなり効いている。
- SHIMANO フリーガ ベイシス 200 / チャムス キャンパークーラー 9L → どちらも15℃前後で並ぶ結果。汎用クーラーとしては十分な性能だと感じた。
一方、チャムス スチールクーラーボックス54L と ツリノ ランガンサーフクーラー80 は 12時間後で17℃付近まで上がり、「氷1本」の条件では不利な側に回った。
電源クーラー(ICECO)はやっぱり別枠だった
唯一の電源ギアであるICECO APL20 ポータブル冷蔵庫。
これはもうパッシブ(電源なし)クーラーとは別ジャンルで、12時間ずっと−13〜−14℃をキープ、氷は当然100%残った。
- 設定温度:-20℃(実測はだいたい -14℃付近で安定)
- バッテリー(768w容量)消費:100% → 44%(12時間)
- 電力消費の目安:おおよそ 1時間あたり 4〜5% 前後
夏キャンプ・車中泊・長時間釣行で「絶対に冷やしたいもの」があるなら、 電源クーラーはやっぱり別枠の安心感があると感じた。
一番意外だったのは DAISO の小型発泡クーラー
今回のMVP候補は、正直いちばん期待していなかったDAISO 発泡クーラーボックス 4.8Lだった。
値段は200円クラスなのに、庫内温度はほとんど10〜11℃でフラット、氷も半分残っていた。
もちろん見た目の所有感はゼロだし、耐久性も高くはない。
でも「ペットボトル数本を半日冷やしたい」という用途に限れば、コスパ最強クラスという結果になった。
容量が大きいクーラーは“氷1本”だと不利
意外とハッキリ出たのが、容量バイアスの影響。
今回の条件はすべて「ペットボトル氷1本」なので、54Lや20Lクラスのクーラーは、そもそも熱を抱え込む空気量が多くて不利になる。
簡単に言うと──
- 小容量(4〜10L):氷と空間が近く、効率よく冷える → 今回の条件では有利
- 中容量(20L前後):バランス型。氷を少し増やせば一気に実用寄りに伸びるゾーン
- 大容量(50L〜):氷1本だと厳しい。保冷剤や氷を増やしてこそ本領発揮
なので、「大容量は弱い」という話ではなく、今回の氷条件だと小型のほうが点数が出やすいという意味になる。
結露が出たのはツリノだけ:断熱の“薄さ”が見えた
8つの中で、結露が出たのはツリノ ランガンサーフクーラー80だけだった。
これは断熱材が薄く、外気との温度差がそのまま外壁まで伝わっているサインでもある。
逆に言えば、「軽くて折りたためる」代わりに、長時間の保冷には向かないという性格が、数値と現象の両方で確認できた形になる。
短時間ランガンやSUPの“サブ的な使い方”に割り切って使うのがちょうど良さそうだ。
ここまでが「12時間テストのざっくり結論」。
次のセクションでは、グラフと数値を使って、それぞれのクーラーの“冷え方の性格”をもう少し細かく見ていく。
温度推移グラフで見る“冷え方の性格”
ここでは、3時間ごとに計測した庫内温度の推移をグラフで比較しながら、 それぞれのクーラーが「どんな冷え方をするタイプなのか」をまとめていく。
同じ氷1本でも、冷え方のカーブがまったく違う。
「最後の温度」よりも、この“性格”のほうが実戦では重要になる。

PEACOCK の“後半が落ちない”特殊カーブ
PEACOCK クーラーバケットは、序盤で一気に下がり、そのまま9℃ラインを12時間キープする安定型。
いわゆる「真空断熱系の冷え方」で、後半になるほど温度上昇が止まるのが特徴。
“氷を溶かさずキープすること”に関しては、今回の比較では実質ワントップ。
DAISO の小容量“フラット性能”は本物だった
DAISO 発泡クーラーは、ほぼ10〜11℃の水平ラインを描く特殊なカーブになった。
これは「容量が小さい → 氷との距離が近い → 温度が安定しやすい」という理屈そのまま。
断熱材そのものは高性能とは言いがたいが、 小容量シーン限定では最強クラスの効率を叩き出すことがはっきり見えた。
釣り系ハード(SHIMANO)は“氷を使い切る冷え方”
SHIMANO フリーガ ベイシス200は、最初の3〜6時間でしっかり冷えるが、 後半にかけてじわじわ温度が戻ってくるタイプだった。
いわゆる「氷を使い切る」冷え方で、短時間〜半日釣行に最適化されている。
TITAN / Tsulino のソフト系は“上がりやすい”が用途は明確
TITAN と Tsulino(ランガンサーフ)はどちらも、 前半:それなりに冷える → 後半:室温に寄っていくというソフト系らしい推移になった。
特に Tsulino は外壁が薄いため、唯一の結露発生が見られ、 断熱が弱い → 温度が外気に吸われやすい、という傾向がグラフからも読み取れる。
ただし、短時間ランガンやSUPのサブ運用ではむしろこの「軽さ」が主役になるので、 冷え方としては想定通りのカーブとも言える。
CHUMS スチール54Lは“大容量の武器と弱点”がそのままグラフに
スチールクーラーボックス54Lは、他のクーラーに比べて冷え方が遅い&戻るのも遅いという“大容量らしい”カーブを描いた。
氷1本ではそもそも冷却量が足りず、 12時間後には17℃前後で落ち着いてしまうが、 これは弱点ではなく容量条件による必然。
実際のキャンプ運用で氷や保冷剤をたっぷり入れた場合、 “温度が動きにくい”という性格はむしろ武器になる。
ICECO(電源)は完全に別ジャンル:−14℃を水平キープ
ICECO APL20 ポータブル冷蔵庫のグラフは、 −13〜−14℃の水平線が12時間続く、完全に“電源ギアの世界”だった。
外気変動に影響を受けず、常に冷気を供給できるため、 パッシブクーラーと比較するのはもはや意味がないレベル。
夏キャンプ・車中泊・長距離釣行での“絶対的な安心感”は、 この曲線がすべてを物語っている。
こう見ると、数字よりもカーブの違いがはっきりして、 「用途によって最強が変わる」という今回のテーマがより鮮明になる。
氷の消費量から見える、クーラーの“熱の入り方”
12時間後の氷の残り方を比較すると、単純な「温度の低さ」では分からない、 クーラーごとの“熱の入り方のクセ”がはっきり見えてくる。
保冷力=氷が減らない、ではない。 氷が減らないのは「熱が入りにくい構造」、 温度が低いのは「庫内の空気を冷やせている構造」で、 この2つは似ているようでまったく違う指標になる。

氷95%残:PEACOCK(真空断熱の異次元)
PEACOCK クーラーバケットは、12時間後でも氷が95%残存という異常値を記録した。
これは外気の熱がほぼ入らない“真空断熱の壁”が効いている証拠。
温度の推移でも9℃をキープし続けていたが、 氷残量を見ると「そもそも氷を使っていない」ことが分かる。 保冷力の本質はここにある。
氷50%残:DAISO(用途が合えば最強コスパ)
4.8Lという小容量の強みを最大限に発揮し、DAISO 発泡クーラーは氷50%残存。
小さく、氷の近くに空間が集中するため、熱の入り方が非常に少ない。
断熱材は決して高性能ではないが、 「小容量×氷1本」という条件では最適解になることがよく分かる。
氷10〜40%:中堅クーラーの“バランスタイプ”
TITAN・CHUMS Camper 9L・SHIMANO フリーガなどの中堅勢は、 10〜40%の氷残存量という、もっとも実戦的なゾーンに落ち着いた。
これらは「氷を使って庫内を冷やす」タイプのカーブを描くため、 減り方はそれなりにあるが、用途に合わせて調整しやすい。
釣り・デイキャンプ・短時間運用ならこの帯域が最も扱いやすい。
氷3%:CHUMS スチール54L(大容量の構造的ハンディ)
54Lという大容量のCHUMSスチールは氷残存が3%まで低下。
ただしこれは「性能が弱い」のではなく、 氷1本:容量54Lという明確なミスマッチによるもの。
大きいクーラーは氷や保冷剤を増やした瞬間に性能が跳ね上がるため、 今回のテスト条件では不利だっただけで、 実用ではむしろ“温度が動きにくい武器”になる。
氷100%:ICECO(そもそも溶けない世界)
ICECO APL20 は氷が一切溶けない(100%残存)という別次元の結果に。
−14℃を維持する電源ギアなので当然だが、 「溶けない」という事実はパッシブでは絶対に到達できない。
長期キャンプ・車中泊・夏の釣行では、 パッシブとは“カテゴリーが違う”安定感がある。
“冷えが強い”と“氷が減らない”は別物
ここで重要なのは、 庫内温度が低い=氷が残る ではないという点。
例えば SHIMANO は序盤の冷えが強く、温度がしっかり下がったが、氷はしっかり減った。
逆に CHUMS 9Lは、温度は上がり気味だが庫内が狭いことも相まり氷はしっかり残る。
つまり、
- 温度の低さ=「庫内空気を冷やす力」
- 氷の残量=「外気から熱が入らない力/庫内空間の氷とのバランス」
この2軸で見ることで、ようやくクーラーの“本当の性格”が見えてくる。
次のパートでは、このデータをもとに 用途別に「どのクーラーが最適か」を整理していく。
容量バイアス:小型 vs 中型 vs 大型の“公平な見方”
クーラーの性能は「断熱材の質」よりも、まず容量の影響を大きく受ける。
今回のテストは氷ペットボトル1本という統一条件で行ったけれど、この条件がクーラーの得意・不得意をそのまま浮き上がらせた。
だからこそ、ここでは冷え方ではなく、容量別の“公平な見方”をまとめておく。
小型(4〜10L):ペットボトル1本冷却に最適なゾーン
4〜10Lの小型クーラーは「氷との距離が近い」ため、 ペットボトル1本の冷却効率が最も高くなるサイズ帯になる。 今回のテストでも、小型は例外なく安定して低温を維持していた。
特に DAISO や CHUMS キャンパークーラーのように、 「中身が少なくても性能が崩れない構造」は、小容量と相性がいい。
デイキャンプ・短時間釣り・飲み物専用なら、この帯域が最強。
中型(20〜30L):実用バランス型で“使いやすい現実解”
20〜30Lは最も使用者が多い帯域で、 氷1本では小型には劣るが、実際の運用ではバランスが良い万能帯になる。
容量が増えるぶん、氷との距離が離れて初速が鈍くなるが、 中身を入れた時の温度安定性や、複数人キャンプとの親和性は高い。
「温度より運用性」で選ぶならこのゾーン。
大型(50L〜):氷追加で突然“最強クラス”に化ける
50Lを超える大型帯は、今回のように氷1本だと完全に不利。
冷えるわけがないし、今回のCHUMS 54Lのように後半は17℃まで戻るのが自然な挙動。
ただしこれは弱点ではなく、 「容量に対して冷却量が足りていないだけ」という当たり前の話。
逆に言えば、保冷剤や氷を増した瞬間、 大型クーラーは小型や中型を一気に上回る安定性を見せる。
キャンプで2〜3日使うなら、大型の“底力”は圧倒的。
「氷1本条件」がどれほど結果を左右したか
今回のテストは公平にするために氷量を揃えたけれど、 容量差がそのまま性能差に直結するという意味では、 小型が圧倒的に有利な条件だったといえる。
つまり、今回の結果はクーラーの絶対性能ではなく、 氷量が一定のときの“効率”比較になっている。
実運用では“保冷剤量に応じて逆転”が起きる
ここが一番重要なポイント。 実際のアウトドアでは、みんな氷や保冷剤を複数入れる。
するとグラフの順位が簡単に逆転する。
例えば、CHUMS 54Lは氷不足で最下位だったが、 氷を3〜5本入れた瞬間、中型を一気に追い抜くレベルに強くなる。
容量が大きい=“冷えにくい”ではなく、 冷えるまでに必要なエネルギーが大きいだけ。
その壁を越えると、大型はむしろ一番安定する。
この容量バイアスを理解しておくと、 「どれが一番冷える?」という疑問よりも、 「自分が入れる氷の量ならどれが最適か?」で選べるようになる。
結露の有無:熱損失のリアル指標
今回の比較で、結露が発生したのは Tsulino サーフクーラーだけだった。
これは「悪い・良い」という話ではなく、外気と内気の温度差がクーラーの外壁まで届いてしまったことを示すサインになる。
断熱が厚いクーラーは、温度差が内部で止まるため外壁まで冷気が伝わらず、 結露がそもそも発生しない。
逆に、断熱が薄いと外壁が冷やされ、湿度のある環境ではすぐ水滴になる。
今回の結果を一言でまとめると、 「結露=断熱が薄い(熱が逃げている)」 「結露ゼロ=外壁まで冷気が届いていない」 という、非常に分かりやすい構造になっていた。
外壁に水滴が出ると、車内やサイトで「周辺のギアが濡れる」問題も出てくるので、 ソフトクーラーを選ぶときは、この結露の有無がひとつの判断材料になる。
なお、その他の7つのクーラーはすべて結露ゼロ。
外壁が冷えるほど熱が抜けていないという意味で、 断熱的には安定していたと言える。
電源クーラー(ICECO)は別次元:冷蔵庫ではなく“冷凍庫”
ICECO APL20 は、今回の12時間テストの中で完全に別ジャンルの存在だった。
パッシブ(氷を使う)方式とは比較にならない性能で、むしろ家庭用冷凍庫に近い動きをする。
まず驚いたのが、設定温度 -20℃に対して実測 -13〜-14℃を12時間キープしたこと。
外気温が上下しても、庫内温度はほぼ水平線。
冷え続けるというより、“冷えた状態を維持し続ける”という動きに近い。
さらに今回使ったポタデン(DABBSSON 600L)では、消費電力が平均36W前後。
電源の容量を適切に増やせば、計算上、20Lクラスの冷蔵庫を1泊2日〜2泊3日運用できるレベルで、 夏キャンプや車中泊、真夏のSUPの熱中症対策でも安心して持ち出せる設計になっていた。
こうした理由から、ICECOのような電源クーラーは、 もはや「クーラーボックス」のカテゴリには収まらない。
クーラーではなく“冷凍庫”として使えるというのが正しい位置づけだと思う。
食材の長期保存、水を凍らせる、アイスを持ち歩く、飲料をキンキンに冷やしておく。
こういった“絶対に冷やしたい”用途では圧倒的で、 今回のテストでもその違いがグラフにハッキリ現れていた。
パッシブとは比較せず、完全に別カテゴリとして選ぶべきギア。
その意味では、キャンプ・車中泊・釣りの“あるレベル以上”を目指す人には、 最初にチェックすべき存在になると思う。
用途別の最適解(数値 × 実体験)
ここまでのデータと、実際に釣り・キャンプで使い倒してきた体験を重ねると、 「最強」ではなく「用途ごとの最適解」がはっきり見えてくる。
温度カーブ・氷残量・結露の有無・容量バイアス・心理的ストレスをすべて踏まえると、 クーラーはシーンによって役割が完全に変わる。
SUP釣り(短時間)
短時間のSUPは軽さと可搬性が命。
溶けても問題ない時間帯なので、保冷力より“運用のしやすさ”が勝つ。
- CHUMS 9L:軽い・扱いやすい・見た目も良く心理的ストレスがない。
- Tsulino サーフクーラー80:折りたためて超軽量。短時間ならこれが最適。
釣り(長時間)
数時間以上&夏場になると、保冷力が一気に重要になる。
温度カーブと氷残量から見ても、この2つが頭ひとつ抜けていた。
- PEACOCK クーラーバケット:後半の9℃キープが圧倒的。真夏の海でも信用できる。
- ICECO APL20:−14℃を維持。飲み物・氷・食材すべて「絶対に冷やす」なら最強。車で運用ができる。
デイキャンプ
“軽さ・手軽さ・必要十分”が評価軸。 飲み物だけなら小容量が効率最強になるのはデータが証明済み。
- DAISO 4.8L:容量が小さいほど氷効率が上がる典型例。飲み物専用なら最強コスパ。
- CHUMS 9L:見た目・扱いやすさ・保冷力のバランスが良く日常使いの優等生。
数泊キャンプ
キャンプは「見た目 × 余裕 × 保冷の安心感」を揃えたい。 過不足なく使える組み合わせがこの2台。
- PEACOCK(サブ):氷・飲み物・すぐ使う食材を完璧にキープ。途中で氷を追加すれば更に長持ち。
- ICECO(メイン):冷蔵庫として食材の心配をゼロにする中心ギア。電源を充電できるシステムを持てば何日でもキャンプができる。
堤防の餌釣り
堤防の餌釣りは汚れる。潮・コマセ・道具を全部放り込める“雑に扱える強さ”が最重要。
- SHIMANO フリーガ ベイシス200:氷を使い切るカーブは半日釣行と相性が良い。汚しても気にならない頼もしさ。
大容量とデザインで映えるサイト作り
キャンプでは機能だけがすべてじゃない。
“映えるかどうか”は、サイトの雰囲気を決める大きな要素。
- CHUMS スチールクーラーボックス54L:デザインが圧倒的に良い。大容量ゆえ氷1本では不利だが、保冷剤を盛れば存在感と実用性の両立ができる。
こうして用途別に整理すると、 「最強のクーラーは存在しない。用途に合わせた最適解だけがある」 という今回のテーマが、よりクリアに浮き上がるはずだ。
個別レビュー記事へ
ここからは、今回のテストデータと実体験をもとに、 8つそれぞれのクーラーを更に詳細にレビューした記事へのリンクを置いておく。
1. ICECO APL20(電源式)

−14℃を12時間維持した、今回唯一の“冷凍庫レベル”。
海・キャンプ・車中泊すべてで不安を0にする存在。
2. PEACOCK クーラーバケット IGN-100

氷残量95%で実質トップ。
終盤9℃キープは明らかに“別格の保冷力”。
釣りでの魚の持ち帰りでは「魚が凍りそうで逆に心配」したレベルの冷え方。
3. DAISO 発泡クーラー 4.8L

50%残存という“見た目からは想像できない成績”。
結論、小型は氷効率が異常に高い。
飲み物専用ならコスパ最強で、ユーザーGCでも「デイキャンプはこれでいい」と断言できる。
4. CHUMS キャンパークーラー 9L

総合力の優等生。 40%残存は小型クラスとして妥当で、SUP釣りやデイキャンプでの機動力はNo.1。
ポップなデザインが“持ち出す気分”を上げてくれる稀有なモデル。
5. TITAN 23.7QT(ソフト)

35%残存でソフトクーラー勢では最上位。
ただし外気の影響を受けやすく、氷量を盛る前提のモデル。
機動力が高いので日中の買い物やとにかくコンパクトに軽く使いたい場面に最適。
6. Tsulino サーフクーラー80

唯一の“結露あり”が逆にわかりやすい指標で、 断熱が薄くて外気を拾いやすい構造。
ただし軽量×折り畳みでSUP短時間釣行やサーフのランガンスタイルでは最強の利便性を誇る。
7. SHIMANO FREEGA BASIS 200

10%残存と500mlペットボトルのみでは空間に対しての保冷は厳しい。
しかし汚れ耐性・雑に扱える安心感は圧倒的で、 「堤防の餌釣りはこれが正解」と確信している“汚れ運用特化”モデル。
高機能保冷剤+氷1kgほどを併用するととても実用的になるアイテムだ。
8. CHUMS スチールクーラー 54L

3%残存は“大型あるある”。 氷1本では容量負けする典型例で、 本来は保冷剤を盛ると性能が跳ね上がるタイプ。
ただし、このクーラーは冷却機能だけでは測れない「最高のデザイン性」という強い武器がある。
ギア選びには見た目が好みかどうか?という視点も大事だ。CHUMS54Lの魅力はまさにここにある。
今回は公平比較のため「素の実力」を測った形。
8モデルを比較して思うのは、 「性能=保冷力」ではなく、「何をどう冷やすか」で価値がまったく変わる」ということ。
これらを念頭におけば、あなた自身の使い方がどれに近いかが自然に浮き上がるはずだ。
まとめ:クーラー選びは“使う時間”と“容量”がすべて

今回の12時間テストで分かったのは、 「保冷力が高い」=「最適」ではまったくないということ。
クーラーは“何時間冷やすのか”“どれだけの量を冷やすのか”で評価が完全に変わる。
氷95%残のPEACOCK、50%残のDAISO、3%のCHUMS54L。
この差はスペックではなく、容量と熱の入り方そのものの差だった。
小型は氷が効率よく働き、大型は氷1本では埋もれる──これは実験しないと見えない部分。
保冷力だけで選ぶと失敗する理由
「強いクーラー=何でも冷える」ではなく、 “氷を何本入れる前提の構造か”が最重要だった。
大型は保冷剤を盛らなければ弱いし、小型は氷1本で無双する。
つまり数値だけで判断すると、実際の運用とズレてしまう。
実験データが示した“最適解の分岐”
今回の実験データが示したのは、 クーラーは以下の3択で最適解が分かれるということ:
・短時間 × 小型:DAISO / CHUMS9L / Tsulino が最強
・長時間 × 高保冷:PEACOCK / ICECO(電源)が圧倒的
・大量収納 × 見た目:CHUMSスチール54Lが唯一無二
この3つの軸を外すと、どれだけ高価なクーラーでも性能が噛み合わない。
逆に用途さえ噛み合えば、DAISOのような数百円のクーラーさえ“最適解”になる。
今回の8つのクーラーが見せてくれたこと
・小型は効率の塊 ・中型はバランス型
・大型は“冷却量の前提”が違う
・ソフトは氷量が命
・電源式は比較対象から外れる別カテゴリ
そしてもう一つ大事なのが、 結露の有無・扱いやすさ・重さ・心理的ストレスなど、 数字に出ない“体験の差”が選択の満足度を大きく左右した点。
| 用途 | 最適クーラー | 理由(数値 × 実体験) |
|---|---|---|
| SUP釣り(短時間 〜5h) | CHUMS 9L / Tsulino | 小型で取り回し最強。 氷1本でもある程度は冷え、短時間釣行では“軽さ”が正義。 SUPデッキで邪魔にならず安全性も高い。 |
| 釣り(長時間 5〜12h) | PEACOCK / ICECO | PEACOCKは氷95%残の異次元保冷。 ICECOは−14℃維持で半日でも安心。 潮・日差し・暑さへの耐性が桁違い。 |
| デイキャンプ(飲み物だけ) | DAISO 発泡 4.8L | 氷50%残の“効率特化”。 軽くて持ち運びゼロストレス。 ペットボトル冷却に最も向いている。 |
| デイキャンプ(汎用) | CHUMS 9L | 飲み物+食材をバランスよく管理。 見た目・軽さ・使いやすさが揃った万能型。 |
| 1泊キャンプ(保冷ガチ) | ICECO(メイン)+PEACOCK(サブ) | ICECO:冷蔵・冷凍を完全に担う。 PEACOCK:飲み物 & 夜〜朝の保冷。 実体験でも最もストレスが少ない組み合わせ。 |
| 堤防釣り | SHIMANO フリーガ ベイシス200 | 氷を使い切る冷え方で半日釣行に最適。 “汚れ運用”が圧倒的に楽で、釣り場での信頼性が高い。 |
| 大容量で映えるサイト作り | CHUMS スチール54L | 保冷3%でも問題なし。 目的は“デザインと存在感”。 映えるサイト作成では唯一無二。 |
次回:外気35℃以上の“真夏版テスト”を予定
今回は室内・変動環境での12時間テストだったけど、 次は気温35〜38℃の真夏で同じテストを行う予定。
どれだけ結果が変わるか、自分でもかなり楽しみ。
この記事を読んだあなたが、 「最強」ではなく「自分に最適なクーラー」を選べるようになっていたら嬉しい。
素人だけど、検証して道具は選ぶ。
