スプーンは「重さ」や「色」で語られることが多い。
もちろん、それらも大事な要素だと思っている。
でも実際に釣りをしていると、釣果を分けているのは、もう少し手前にあると感じることが多い。
同じ重さ、同じ色でも、スプーンが変わっただけで反応の出方がまったく変わる。
追われるけれど口を使われないものもあれば、触り方がガラッと変わるものもある。
なぜこのスプーンは最後まで追わせきれないのか。
なぜ別のスプーンに替えた瞬間、魚の反応が一段変わるのか。
そうした違いは、色やグラム数だけでは説明しきれない。
自分の中では、その差を生んでいるのは、
スプーンの形や重心、受け方の違い――つまり「性格」の違いだと感じている。
この記事では、スプーンをスペックや分類としてではなく、
「どういう性格のスプーンなのか」という視点で整理してみようと思う。
スプーンの「形状=性格」という考え方

スプーンは見た目より“水中の振る舞い”が全て
同じような大きさ、同じような重さ。 並べて見ると違いが分からないスプーンでも、 水の中ではまったく別の振るスプーンは、見た目よりも「水中でどう振る舞っているか」がすべてだと思っている。
同じような大きさ、同じような重さ。
並べて見ると違いが分かりにくいスプーンでも、
水の中では、まったく違う振る舞いをしていることが多い。
魚が見て、感じているのは、見た目そのものではない。
- 水をどれくらい押すか
- どんな揺れ方をするか
- 姿勢が安定しているか、どこかで崩れるか
- どの速度域まで成立するか
こうした要素の組み合わせによって、
スプーンにはそれぞれ固有の「性格」が生まれる。
見た目が似ているかどうかは、
実際の釣りでは、あまり大きな意味を持たないと感じている。
スプーンを性格で捉えるようになると、
ローテーションの組み方が、かなりシンプルになる。
- 重さ:レンジを決めるための要素
- 色:アピール帯を調整するための要素
- 形状:反応の質を変えるための要素
「釣れないから色を替える」
「反応がないから重さを落とす」
そう考える前に、
今、自分がどんな性格のスプーンを投げているのかを
一度立ち止まって意識してみる。
スプーンの性格は、
バイトが出るかどうかを直接決めるものではなく、
どんな反応が返ってくるかを左右しているものだと思っている。
ノーマルウォブリング系(基準・対照軸)


性格
- 動きが素直
- 揺れが均一
- 癖が少ない
最もオーソドックスなウォブリング。 暴れすぎず、弱すぎず、 水中での姿勢と揺れが非常に安定している。
スプーンの中でも 「標準状態」を作りやすく、 他のスプーンの個性を浮き彫りにする役割を持つ。
向いている場面
- 放流後の落ち着いたタイミング
- その日の魚の反応を把握したい時
- 他スプーンとの比較・判断の基準
派手すぎる動きが不要になった後、 スプーンの本来の反応を 確認するのに最適な性格。
反応の特徴
- 食う/食わないがハッキリ出る
- 反応の有無が状況と直結しやすい
- 「ズレている理由」が分かりやすい
釣れない時は、 スプーンの問題ではなく レンジ・速度・存在感のズレが 明確に表面化する。
そのため、 このタイプは 釣るためのスプーンであると同時に、 考えるためのスプーンでもある。
スプーンの「物差し」として、自分の中ではローテーションと判断の起点に置きたい性格。
(例:ノア、コール)
ハイピッチウォブリング系(細かく、強い)


性格
- 動きが細かい
- ピッチが速い
- スピード耐性が高い
水を細かく刻むように動き続けるタイプ。 巻き速度を上げても泳ぎが破綻しにくく、 レンジと姿勢を安定して保ちやすい。
スプーンの基本性能が高く、 「まず状況を探る」役割を任せやすいと感じている。
向いている場面
- 朝イチから日中まで、時間帯を選ばない
- 魚の活性が高いか低いか読めない時
- まずは何かしら反応を出したい場面
状況が分からない時ほど、 ハイピッチ系は基準点として機能する。
反応の特徴
- 追いが素直に出やすい
- 下からの食い上げが多い
- レンジズレによる無反応が起きにくい
魚がルアーを見失いにくく、 「近づく → 触る → 食う」までの流れが自然に起きやすい。
そのぶん、 スレが進むと急に反応が消えることもあるが、 最初の判断材料として非常に優秀。
迷ったら投げられる基準スプーンとして、 ローテーションの起点を担う性格と言える。
(例:リクーゼ)
ワイド・暴れ系(攻撃型)

性格
- 揺れが大きい
- 水押しが強い
- 破綻気味の動き(安定より“刺激”寄り)
ワイド・暴れ系は、スプーンの中でも攻撃力が高い性格。 綺麗に泳ぐというより、揺れと水押しで存在感を押し出して、 魚のスイッチを入れにいくタイプ。
向いている場面
- 放流直後
- やる気のある魚が多い時間
- 反応が薄い状況で、まず一段“目を覚まさせたい”時
「食わせ」より先に、反応そのものを引き出す役割を持つ。 朝イチの立ち上がりや放流後など、魚のテンションが上がっている帯域で強い。
反応の特徴
- 判断が早い(食うなら即、食わないなら無反応)
- 追いは短距離で終わりやすい
- 追わない魚は一切追わない
この性格は、反応が極端に出る。 だからこそ、ハマった時は短時間で釣果が伸びる。 逆に外している時は、いつまでも粘っても状況が動きにくい。
「今この池は攻撃型が刺さるのか?」を確認するための一投としても優秀。
使いどころがハマると圧倒的
(例:ドーナ)
癖あり・変則系(変化球)


性格
- 横引きと縦で性格が変わる
- 自動スライドや姿勢変化が入る
- 意図しない「間」が生まれる
癖あり・変則系は、スプーンの中でも動きが素直でないタイプ。 アングラーが何かを操作しなくても、
水の中で勝手にズレたり、間が生まれたりするのが特徴。
いわば、ルアー側が勝手に変化を起こしてくれる性格。
向いている場面
- ローテーションの3番手・4番手
- 同じ反応が続いて魚が慣れ始めた時
- 「このままじゃダメだな」と感じた瞬間
ノーマル系・ハイピッチ系で反応が出切った後に投げることで、 魚の判断を一度リセットする役割を持つ。
反応の特徴
- 不意の食いが出やすい
- 下からの突き上げバイトが増える
- 追いは短いが、突然スイッチが入る
意図していない動きだからこそ、 魚側の想定を外せる。
アングラーが「考えすぎている時」ほど、 このタイプが答えを出すこともある。
オートマチックに“ズレ”を作れるスプーン
(例:グラビティ、バンナ)
マイクロシルエット系(食わせ帯)

性格
- シルエットが小さい
- サイズの割に動きが強いタイプもある
- 美味しいスピード域がかなり狭い
マイクロシルエット系は、存在感を下げるためのスプーン。 派手さや押しではなく、
「食べやすさ」そのものを武器にする性格を持っている。
小さい=弱い、ではない。 むしろ弱アピールなのに反応が鋭い、少しズルいタイプ。
向いている場面
- 大きなシルエットが嫌われている時
- 何を投げても追いが浅くなった終盤
- 広く探るより「目の前に通す」釣り(でもgがあるので距離も稼げる)
レンジ・コース・スピードが合った瞬間だけ反応が出るため、 雑に使うと何も起きない。
反応の特徴
- 着水直後やフォール中の落ちパクが多い
- 追いは短く、深追いしない
- 「通った瞬間」だけ口を使う
魚のやる気を引き出すのではなく、 判断を短絡化させることで食わせるタイプ。
「食べやすさ」で口を使わせるスプーン
(例:ハントグランデ)
縦泳ぎ・リアクション系

性格
- 横引きではなく、縦泳ぎの動きで効く
- 一定だったリズムが崩れる
- 見切られにくく、印象が固定されにくい
縦泳ぎ・リアクション系は、横の世界に飽きた魚に対する別軸の提示。 巻きの釣りとはまったく違う刺激を、一瞬だけ与える性格を持っている。
向いている場面
- スプーンローテが一巡して反応が薄くなった時
- 流れ・リズムを一度リセットしたい時
- 気分転換的に「何か起きないか」探りたい瞬間
常用する性格ではないが、
刺さるときは理由不明のまま結果が出るタイプ。
反応の特徴
- 突然スイッチが入り、連続で反応することがある
- 一方で、続かないことも多い
- 再現性は低いが、破壊力は高い
狙って釣るというより、魚側の反射を引き出す釣り。
当たると「そういうことか」が起きる
(例:KID ダディ)
軽量マイクロ系(最終域)


性格
- スピード依存度が非常に高い
- 許容される速度帯が極端に狭い
- 操作側の精度がそのまま結果に出る
軽量マイクロ系は、魚ではなく人間が試されるスプーン。 ほんのわずかな速度差・角度差で、反応の有無が分かれる。
向いている場面
- かなり厳しい時間帯
- 放流までの“空白の時間”
- 反応が残っているかを「探す」釣り
釣るというより、
「まだ口を使う魚がいるか」を確認する作業に近い。
反応の特徴
- 一瞬だけ口を使う
- 追いはほぼ出ない
- 完全にタイミング依存
当たるが、続かない。
けれど、その一瞬が次の展開を教えてくれる。
状況確認用のラストカード
(例:ハント 0.9g / 0.7g、リクーゼ 0.6g)
セオリーから外れる勇気
エリアトラウトには、よく知られた基本セオリーがある。
- gを下げる
- 色を落とす
- シルエットを小さくする
これらは間違いなく正しい基本軸だ。
実際、多くの日でこの順に調整していけば、魚には近づける。
ただし、相手はルアーではなく生き物だ。
人の思考が作ったセオリーから、
きれいに外れてくる日も確実に存在する。
すべてが落ち切ったはずの時間帯に、
あえてgを上げる。
あえて存在感を戻す。
あえて「目立つ一枚」を通す。
それで、突然反応が返ってくることがある。
下げる判断が基本。
でも、上げる判断が刺さる日も、確実にある。
正解は一つではない。
だからこそ、エリアトラウトは面白い。
ここから繋がる記事たち
スプーン重量について(0.6g / 1.0g / 1.6g / 1.8g)

スプーンのローテーションとカラー帯の思考

スプーンローテーション実戦記事


ストリーム型/止水ポンド別 スプーン思考
後日追加予定。
まとめ|スプーンを「性格」で投げると釣りが変わる

スプーンは「性能」ではなく「性格」で見る道具
スプーンは、正解を探すためのルアーではなく、
状況を理解するための翻訳機のような道具だと思っている。
同じ重さ、同じ色でも釣れ方が違うのは、
水の中で振る舞っている性格が違うからだ。
性格で考えられるようになると、
ローテーションは作業ではなくなる。
今、何を投げるか。
ではなく、
今、どんな性格を通すか。
スプーンは魚を釣るための道具であると同時に、
フィールドの状態を教えてくれる道具でもあると僕は思っている。
素人だけど、検証して最適は選ぶ。
