磯釣りが危険と言われる理由とは？
磯は“魚が近い”“地形変化が豊か”という魅力があり、釣り人なら一度は立ってみたい場所だと思う。ただ、このフィールドは堤防や砂浜とは根本的に性質が違う。ぼくも最初は軽い気持ちで入ったが、一度大きな波に足をすくわれかけてから考え方がガラッと変わった。
磯の危険は単体で発生するのではなく、複数の要素が“同時に重なる”ことで一気に表へ出てくる。その構造を理解しておくだけで、危険の見え方が大きく変わる。
足場が「読めない」フィールド
磯は見た目では安全かどうか判断しにくい。乾いているように見えた岩が、実は薄い海水の膜で覆われていたり、足を置くスペースの裏が空洞になっていたりする。
ぼくが磯ブヨに追われて逃げたときも、踏み込んだ岩が想像以上に脆くて、一瞬で体のバランスが崩れた。もし片足がもう少し前に出ていたら、あのまま落ちていたと思う。
磯では「安全に見える場所ほど危ない」という感覚が大切になる。
波が“複数方向”から干渉する
磯では波が一方向だけから来ない。正面・横からの寄せ波に加えて、岩にぶつかって反射した波が戻り、その2つがぶつかって突然盛り上がることがある。
静かに見える日でも、数分に一度だけ力の強い“混ざった波”が入り、足元を一気にさらう。堤防より波の「質」が荒いのが磯の特徴だ。
帰り道がひとつしかない
磯は基本的に一本道で入る。つまり、戻るルートも同じひとつしかない。潮位が上がる、風が変わる、波の周期が変わる──これらが重なると、帰路の一部が一瞬で水没する。
実際にぼくも、一見穏やかだった帰り道が突然波をかぶり、しばらくその場で待つしかなかったことがある。磯は「危なくなってから逃げる」ではなく、「危なくなる前に離れる」場所だと痛感した。
環境変化が“連鎖”する釣り場
磯の危険は、波・風・足場・潮がそれぞれ独立しているのではなく、互いに連動して変化すること。波が強くなれば足場が濡れる、足場が濡れた頃には風向きが変わる……というように、複数が連鎖して安全ラインに触れてくる。
磯は「その瞬間を切り取れば安全」に見えるが、少し時間を置くとまったく違う表情になる。その変わりやすさこそが最大のリスクだ。
素人だけど、検証して道具は選ぶ。
