冬のSUP釣りは、夏と同じ感覚では成立しない。
僕の場合、冬は「落水しない前提」で釣りを組み立てている。
海況が悪ければ無理はしないし、少しでも不安があれば早めに切り上げる。
それでも、実際に海に出ると分かる。 「もし濡れたらどうしよう」という不安があるかないかで、精神的な余裕がまったく違う。
風を受けながらSUPを漕ぎ、釣りに集中し、状況判断を続ける冬の海では、 装備がもたらす安心感が、そのまま行動の質に直結する。
そんな中で、今回本格的に使い込んだのがレイブンパンツだった。
いわゆるフルドライスーツではなく、 「パンツだけのドライスーツ」という選択。
この存在が、冬SUPにおける装備の考え方を少し変えてくれた。
レイブンパンツとは何か
レイブンパンツは、ズボン単体のドライスーツだ。
上半身まで覆うフルドライスーツとは違い、「下半身だけを完全に濡らさない」ことに特化した装備になる。
SUPやカヤック、渓流釣り、雨天時の釣行など、下半身が水や泥に触れやすいシーンで使われることが多い。
特徴的なのは、上下フルドライではないという点。
一見すると中途半端にも思えるけれど、この「パンツだけ」という構成が、実際の釣りではかなり効いてくる。
- 着脱が楽
- 動きやすい
- 暑くなりすぎない
- 普通の服装に近い感覚で使える
フルドライほど構えずに使えて、それでいて「絶対に濡らしたくない部分」は確実に守れる。
レイブンパンツは、装備としての安心感と、現場での扱いやすさのバランスを、かなり現実的なところで取っているパンツだと思っている。
僕が使っているモデルとサイズ感

レイブンパンツには、用途別にカヤックモデルとフィッシングモデルがある。
僕が使っているのはカヤックモデル。
妻はフィッシングモデルを使用している。
どちらも基本構造は同じで、「下半身を確実に濡らさない」という役割は共通。
違いは主に、足先まわりの素材にある。
サイズはMサイズを選択した。
身長170cm、体重68kgで、結果的にかなりジャストだった。
購入時はMBサイズとも迷った。
MBはウエスト周りに余裕を持たせた設計らしく、体型によっては安心感があると思う。
ただ、僕の場合はお腹周りは若干出ているが、結果的にMサイズでダブつきもなく、動きやすさも損なわなかった。
特に気に入っているのがシルエット。
ドライスーツ系のパンツにありがちな野暮ったさがなく、細身で、普通のアウトドアパンツに近い見た目をしている。
- 釣行の行き帰りにそのまま履いていける
- 途中でコンビニに寄っても違和感がない
- 「装備感」が前に出にくい
この「街でも浮かない感じ」は、実際に使ってみて想像以上にストレスが少なかった。
サイズ選びは迷いやすいポイントだけど、170cm前後・標準体型なら、Mサイズはかなり基準になると思う。
カヤックモデルとフィッシングモデルの違い

レイブンパンツの「カヤックモデル」と「フィッシングモデル」の違いは、
カタログ上では足先素材の違いとして説明されている。
ただ、実際に両方を手に取って使ってみると、
この差は外見だけの話ではないと感じた。
足先素材の違い(見た目以上に違う)

- カヤックモデル: 硬めの生地。中から触っても布素材そのものの感触で、やや多層構造っぽい
- フィッシングモデル: ネオプレン素材そのもの。内側も外側もネオプレンらしい柔らかさ
ここは完全に一次情報になる部分だけど、
中から触っても、外見どおりの構造だった。
ネオプレンモデルは「表面だけネオプレン風」ではなく、
足先全体がそのままネオプレンとして作られている感触。
一方でカヤックモデルは、
硬めの生地がしっかりしていて、2枚以上の層が重なっているような安心感がある。
防水性能はどちらも同等

重要なのは、
どちらも水は一切通さないという点。
ネオプレンだからこう、布だから弱い、という違いは感じなかった。
違いが出るのは、
濡れた状態で風に当たったときの冷え方と、
足先の保温感。
冬の海で使った感覚だと、
ネオプレンのほうが「濡れてからの冷え」に強そうだと感じる。
どちらが向いているか
足先の冷えが気になる人、
冬場に長時間水に触れる場面が多い人は、
フィッシングモデル(ネオプレン)のほうが安心だと思う。
一方で、
耐久性や踏みつけへの強さ、
多少ラフな使い方を想定するならカヤックモデルも十分に信頼できる。
実際、今回の釣行では、
マリンシューズを片足なくした状態で歩き回ったけれど、
布の擦れや破れは一切なかった。
このあたりは、
「どちらが優れているか」ではなく、「どんな使い方をするか」で選ぶ部分だと思っている。
実際に冬SUPで使って感じたこと

今回レイブンパンツを使った日の条件は、
気温およそ 4〜9℃、風速は 1.5〜2m 前後。
SUP釣りとしては、
「寒さを感じやすい部類の日」だったと思う。
関東圏では立派な「冬の日」だ。
半日漕いでも蒸れはほぼ感じなかった
SUPは止まっている時間より、
パドルを漕いで動いている時間のほうが圧倒的に長い。
その状態で半日使ってみたけど、
パンツ内が蒸れて不快になる感覚はほぼなかった。
完全防水=蒸れる、というイメージがあったけど、
レイブンパンツに関しては、その不安はかなり小さい。
浸水ゼロ。防風性能は想像以上に高い
水飛沫は何度も浴びたし、お尻は常にsup上の海水に触れている状態。
しかし、浸水は一切なし。
さらに良かったのが、防風性能。
濡れた状態で風に当たっても、
「風が抜けて冷える」感覚がほとんどない。
これは冬の海ではかなり重要で、
体力の消耗が目に見えて変わる。
メリノウールとの組み合わせがちょうど良い
この日は、
レイブンパンツの下に メリノウールのアンダータイツを着用。
結果として、
下半身は最初から最後まで完全に快適だった。
寒さを感じる場面はなく、
かといって暑すぎることもない。
「冬だから厚着する」ではなく、
濡れない+風を遮るという前提を作るだけで、
ここまで快適になるんだと実感した。
カヤックモデルの「足先が冷たく感じる」問題
使っていて唯一「ここは差が出るな」と感じたのが、
足先の冷え方だった。
濡れた状態で風に当たると、少し冷える
SUPでは、エントリーや取り回しの関係で、
どうしても足先が海水に浸かる場面が出てくる。
カヤックモデルは足先が硬めの生地構造なので、
濡れた状態で風に当たると、少し冷たさを感じる。
ただし、
「辛い」「我慢できない」というレベルではない。
普通に釣りを続けられるし、
寒さで集中力が削られるほどでもなかった。
ネオプレンの強みは「濡れた後」
一方で、妻が使っているフィッシングモデル(ネオプレン)を見ると、
濡れた状態への耐性は明らかに高そうだと感じる。
ネオプレンは、
水を含んでも冷えにくい素材。
冬の海水に触れる時間が長い人ほど、
この差は効いてくると思う。
結論:買えるならフィッシングモデルがおすすめ
僕自身は、在庫の関係でカヤックモデルを選んだけど、
選べるならフィッシングモデルをおすすめする。
理由はシンプルで、
冬の環境では「濡れた後の快適さ」がそのまま余裕になるから。
ただし、
カヤックモデルがダメという話ではまったくない。
強度は高く、
実際にマリンシューズを片足失った状態で歩いても破損はなし。
「使えるかどうか」ではなく、
どこまで快適さを求めるかの違いだと思っている。
想定外のトラブル検証:マリンシューズ紛失

今回の釣行で、正直いちばん印象に残ったのは、
釣果でも海況でもなく、完全な想定外トラブルだった。
エントリー時に片足だけ脱げた
SUPのエントリー時、
波と足元のバランスを取っている最中に、
マリンシューズが片足だけ脱げて流された。
一瞬で見失って、そのまま回収不能。
この時点で、
片足だけ裸足+レイブンパンツという状態になった。
右足パンツ生地のまま撤収・片付けをすることに
釣行自体は早めに切り上げる判断をして、
そのまま撤収・片付けへ。
問題はここからで、
海岸は当然、貝殻・小石混じり。
正直、
「布が擦れて穴が空くんじゃないか」
という不安はかなりあった。
結果:破損なし

帰宅後、
レイブンパンツの足先を念入りにチェック。
結果は、破損なし。
擦れた跡すらほとんど見当たらず、
生地の強さに驚いた。
この一件で、
「これは信頼していい装備だな」と感覚が一段変わった。
カヤックモデルの強度は本物
特に今回感じたのは、
カヤックモデルの生地強度の高さ。
硬めでしっかりした素材だからこそ、
こういうトラブルでも破綻しなかったんだと思う。
冬のSUPやカヤックは、
「想定外」が起きやすい。
そのときに、
装備が壊れないことは、
安全面でも精神面でも大きな価値になる。
乾きやすさ・持ち帰り・車内運用
レイブンパンツを使っていて強く感じたのは、
「釣りが終わった後まで含めて快適」という点だった。
海水で軽く洗って、そのまま車へ
撤収時、
海水で軽く流して砂や塩分を落とし、
そのまま履いた状態で車に戻った。
ベタつきも少なく、
濡れたウェア特有の不快感もほとんどない。
履いたまま移動できるのが大きい
ドライスーツというと、
「すぐ脱がないとダメ」というイメージがあるけど、
レイブンパンツは普通のパンツ感覚で移動できる。
そのまま片付けをして、
必要なら現地で脱ぐこともできるし、
履いたまま帰ることもできる。
この自由度は想像以上に大きい。
防水シートとの相性が最高

車内では、
以前書いた防水シートを使用している。
濡れたまま座っても気を使わなくていいので、
精神的な余裕が段違い。
冬の釣行は体力も使うから、
「帰りが楽」というだけで満足度がかなり変わる。
帰宅後の本洗い・乾燥も楽
帰宅後は、
改めて真水でしっかり洗い流して乾燥。
洗濯機は使わず、
水洗いのみだけど、
匂い残りはほとんど感じなかった。
素材自体が乾きやすく、
冬でもストレスなく扱える。
この「片付けまで含めた快適さ」は、
実際に使わないと分からない部分だと思う。
ウェットスーツと比べてどうか
正直、僕はウェットスーツでSUP釣りをした経験はない。
ただ、着たことはあるし、構造や扱いの違いは分かる。
その上で感じたのは、
レイブンパンツは「別物の快適さ」だということ。
着脱が圧倒的に楽
ウェットスーツは、
着るにも脱ぐにも体力を使う。
濡れた後は特にきつく、
撤収時のストレスがかなり大きい。
レイブンパンツは、
普通のズボンとほぼ同じ感覚で着脱できる。
この差は、想像以上に大きい。
普通の服と変わらない感覚
履いてしまえば、
ドライスーツを着ている感覚はほとんどない。
動きにくさも少なく、
パドルも釣りも自然にできる。
「特別な装備を着ている」という意識が薄いのは、
精神的にもかなり楽だった。
濡れてもストレスがない
水に濡れても、
身体が冷えないという安心感がある。
しかも、
濡れた状態でもベタつかず、
不快感がほとんど残らない。
これは、
「濡れる前提」のウェットスーツとは、
考え方がまったく違う部分だと思う。
価格は高いが、人気の理由は腑に落ちた
正直、値段は安くない。
最初は、
「パンツだけでこの価格か」とも思った。
でも、
実際に使ってみて、
なぜこれだけ支持されているのかはよく分かった。
快適さ、扱いやすさ、汎用性。
その全部を考えると、
納得できる価格だと感じている。
正直に感じたデメリット
どんな装備にも欠点はある。
レイブンパンツも例外ではない。
値段は高め
まず、価格は安くない。
パンツ単体として考えると、
最初は少し躊躇する金額だと思う。
ただし、
SUP・渓流・雨天釣行まで含めて使えることを考えると、
個人的には納得できる範囲だった。
生地が硬く、歩くと音が出る
生地はしっかりしている分、
歩くと「シャカシャカ」と音が出る。
静かな場所では、
多少気になる人もいるかもしれない。
ただ、これは耐久性や防水性とのトレードオフでもある。
在庫切れが多い
もう一つ大きな欠点が、
とにかく在庫が少ないこと。
サイズやモデルによっては、
欲しいタイミングで手に入らないことが多い。
実際、僕もフィッシングモデルのMサイズが手に入らず、
カヤックモデルを選ぶことになった。
気になる人は、
見つけたら即決するくらいのつもりで見ておいた方がいい。
完璧ではないが、用途を理解すれば欠点にならない
レイブンパンツは、
万能装備ではない。
落水前提の冬SUPや、
極限環境向けの装備でもない。
でも、
「濡れない前提で動く釣り」
「快適さを重視する使い方」
を理解して使えば、欠点はほとんど気にならなくなる。
だからこそ、
用途がハマる人にとっては、
手放せない一本になると思っている。
結論|SUPだけじゃなく「釣り全般のパンツ」だった

最初は、
「冬SUP用の装備」として導入したレイブンパンツだった。
でも実際に使ってみると、
用途は想像よりずっと広かった。
- 冬のSUPフィッシング
- 渓流釣り
- 雨の日の釣り全般
- エリアトラウト
水に濡れない。
冷えない。
動きやすい。
この条件が成立するだけで、
釣りの快適さは別物になる。
特定のジャンル専用ではなく、
釣りという行為そのものを支えるパンツだった。
これからも、
季節と釣り方を問わず使い続けると思う。
素人だけど、検証して道具は選ぶ。
