携帯浄水器を備えたとき、多くの人が次に抱く疑問がこれだと思う。
「結局、どこまでの水なら現実的に飲めるのか?」
川、池、雨水、貯水槽、生活用水、用水路、ドブっぽい水。
淡水といっても、水の状態はあまりにも幅が広い。
この記事では、
・携帯浄水器の一般的な性能
・公的な防災ガイドラインの考え方
・素人が現実的に判断すべき安全ライン
この3点を前提に、
「これは現実的」「これは条件付き」「これはやめとけ」
という線引きで整理する。
なお、海水が使えないことはすでに何度も触れているので、今回は淡水の中の危険ラインにだけ踏み込む。
まず前提として|携帯浄水器が「できること」と「できないこと」
携帯浄水器は魔法の装置ではない。
一般的にできるのは、次の範囲だ。
- 濁り(泥・砂・微細な浮遊物)を除去する
- 細菌・原虫などのサイズの微生物を物理的に除去する
- 味やニオイをある程度改善する
一方で、基本的に苦手なのはこの領域だ。
- 化学物質・重金属
- 農薬・工業排水由来の有害物
- 油分・溶剤系
- 海水レベルの塩分
つまり、携帯浄水器は「自然由来の汚れには強いが、人工的な汚染には弱い」というのが大前提になる。
【現実的にOKゾーン】川の上流・湧水に近い水
もっとも現実的に「飲料候補になる」のはこのゾーンだ。
- 山間部の川の上流
- 人家・農地・工場のない場所の渓流
- 明らかに生活排水が流れ込んでいない水
このレベルの水であれば、
・携帯浄水器+煮沸(可能なら)
・携帯浄水器のみ(緊急時)
という組み合わせで、防災上の飲料水として成立する可能性が高い。
登山・渓流釣りの人たちが実際に使っているのも、ほぼこのゾーンだ。
【条件付きゾーン】雨水・貯水槽・池の水

ここからが判断が分かれる「グレーゾーン」だ。
- ベランダや屋根にたまった雨水
- マンションの非常用貯水槽
- 公園や農業用の池
このゾーンの特徴は、
「自然水だが、人工物を経由している」
という点になる。
ここで一気にリスクとして浮上してくるのが、
- 鳥のフン
- 屋根材・配管由来の汚れ
- 藻・腐敗有機物
このゾーンは、
・携帯浄水器だけに頼らない
・必ず煮沸を併用する
という前提で、「非常時の代替水源」として考えるのが安全側の判断になる。
【原則やめとけゾーン】生活排水・用水路・ドブ寄りの水
ここが一番誤解されやすく、一番危険なゾーンだ。
- 住宅街の用水路
- 道路脇の排水溝
- ドブのような強い悪臭がある水
- 泡・油膜・異常な色がある水
このレベルの水は、
携帯浄水器で濁りが取れても「飲料水として安全になるとは考えない方がいい」
理由は単純で、
- 化学物質
- 重金属
- 生活由来の洗剤・油分
このあたりは、物理フィルターでは基本的に除去できない。
このゾーンの水は、
「飲まない前提で、生活用水(洗浄・掃除)」まで
と割り切って使うのが、防災としての現実解になる。
【勘違いしやすいポイント】透明=安全ではない
最大の落とし穴がここだ。
見た目が透明でも、
- 有害な化学物質
- 無色の毒性物
- 微量の重金属
は普通に存在し得る。
携帯浄水器を使うと、どうしても
「キレイになった=安全になった」
という感覚になりやすい。
だが、これは絶対にイコールではない。
防災としての現実ラインをまとめるとこうなる
- 川の上流・渓流:現実的に飲料候補
- 雨水・貯水槽・池:煮沸併用で条件付き
- 用水路・ドブ・生活排水:原則飲まない
この線引きは、
「携帯浄水器の性能」×「公的な防災衛生の考え方」×「素人が守れる現実安全ライン」
を重ねた、かなり保守的な判断だ。
浄水器があっても「飲まない判断」ができるかが生死を分ける

浄水器は武器になる。
だが同時に、
「これなら何でも飲める」という錯覚も生みやすい装備だ。
防災で一番危ないのは、
装備があることで、判断が雑になること
だと思っている。
だから僕は、携帯浄水器を
「飲める水を増やす装備」ではなく、「飲めない水を見極めるための装備」
として考えるようにしている。
最後に|使わない判断ができる人が一番安全にたどり着く

携帯浄水器は、確かに頼れる。
だが、防災では
「使える」よりも「やめられる」判断のほうが難しく、そして重要だ
と感じている。
この線引き記事は、
「飲める水を増やすため」ではなく、「余計なリスクを踏まないため」
のものでありたい。
その判断の土台として、ここに線を引いておく。
素人だけど、検証して最適は選ぶ。
