マットなしで車中泊すると何が起きるか|実際に寝て分かったこと

車中泊を考えたとき、最初に思いがちなのが「寝袋があれば何とかなる」という発想だった。
テント泊よりも硬い地面ではないし、車内は屋根も壁もある。
だから、多少条件が悪くても大丈夫だろう──そう思っていた。

もうひとつ、よくある誤解がある。 「車中泊=フラットだから寝やすい」という前提だ。 実際には、シートを倒しただけの車内は完全に平らではなく、 段差や隙間、部分的な硬さがそのまま残っている。

以前、マットを使わずに車中泊をしたことがある。 もしくは、銀マットなどの簡易的なものだけで済ませたこともあった。 結果としてどうだったかというと、 寒い以前に、身体のどこかにずっと違和感が残る状態だった。

この記事では、 「どうすれば快適に眠れるか」はいったん脇に置く。
代わりに、マットなし、あるいは簡易マットで寝たときに、 実際に何が起きたのかを淡々と整理していく。

目次

そもそも、なぜ「マットなし」で行けると思ってしまうのか

よくある思考パターン

マットを省いても大丈夫だと思ってしまう理由は、だいたい似ている。 それは無理をしようとしているというより、 自然にそう判断してしまう流れがあるからだ。

まず多いのが、「寝袋にお金をかけたから大丈夫」という考え方。 暖かさ=寝袋、というイメージが強く、 下から来る違和感や冷えまで想像が及きにくい。

次に、「車は平らに見える」という思い込み。 シートを倒した状態を外から見ると、 なんとなくフラットに近い形に見える。 実際に横になる前までは、段差や硬さを具体的に想像しづらい。

そして、「一泊だけだから我慢できるだろう」という判断。 疲れていれば眠れるはず、多少違和感があっても何とかなる。 そう考えてしまうのは、ごく普通の感覚だと思う。

ネットやSNSで見かけるバイアス気味な情報

判断を後押ししてしまうのが、 ネットやSNSでよく見かける短い体験談や断定的な言葉だ。

たとえば、 「銀マットで十分だった」 「毛布を敷けば問題ない」 「慣れれば大丈夫」 といった表現。

これらは、条件がたまたま良かった可能性や、 短時間だったケースが切り取られていることが多い。 それ自体が嘘というわけではないが、 すべての人・すべての車・すべての季節に当てはまる話ではない。

問題なのは、 それをそのまま自分の条件に当てはめてしまうことだ。

ここまで挙げた思考は、 誰かが無理をしているわけでも、判断を誤っているわけでもない。 多くの人が通る、ごく自然な思考ルートだと思っている。

だからこそ次のセクションでは、 実際にマットなし・簡易マットで寝たとき、 身体に何が起きたのかを具体的に見ていく。

実際に起きること①「段差がずっと気になる」

車内は思ったより平らじゃない

シートを倒した車内は、見た目ほど平らではない。 横になって初めて、細かい凹凸や違和感に気づくことが多い。

特に気になりやすいのが、シート同士の継ぎ目。 ほんの数センチの段差でも、体重が一点にかかると想像以上に存在感が出る。

また、車種によっては微妙な傾斜がついていることもある。 頭側や足側がわずかに高い・低いといったズレが、 寝返りのたびに気になる要因になる。

さらに、シート下にある金具やレールの硬さ。 直接触れているわけではなくても、 クッション越しに「硬い場所がある」という感覚が伝わってくる。

体のどこに来るか

この段差や硬さは、体の決まった場所に集中しやすい。

まず多いのが腰。 少し沈んだり、逆に浮いたりする部分があると、 常に力が入った状態になりやすい。

次に肩甲骨まわり。 仰向けになったときに出っ張りやすく、 硬さがダイレクトに伝わりやすい場所だ。

横向きになると、太ももや背中にも影響が出る。 体勢を変えても「どこかが当たる」感覚が消えず、 楽なポジションが見つからない。

重要なのは、これが一瞬の違和感ではないということ。

寝た直後だけでなく、 夜中に目が覚めるたび、体勢を変えるたびに、 同じ違和感が繰り返し出てくる。

結果として、 「強い痛みではないが、ずっと気になる」 という状態が一晩中続くことになる。

実際に起きること②「寒さは下から来る」

寝袋が潰れるという現象

マットなしで車中泊をすると、まず実感するのが「思ったより寒い」という感覚だ。 ただし、この寒さは空気の冷たさというより、体の下側からじわじわ来る。

理由は単純で、寝袋の中綿が体重で潰れてしまうから。

寝袋は、空気を含んだ中綿が層になることで保温力を発揮する。 ところが、体の下にある部分は体重がかかり、 中綿が押し潰されてしまう。

すると、その部分の断熱層はほぼ消える。

上から見れば分厚い寝袋でも、 下方向に対してはほとんど無防備な状態になる。

このとき感じる寒さは、 「冷たい風が入ってくる」というより、 「体温が奪われ続けている」感覚に近い。

銀マットだけでは足りない理由

そこで次に選ばれがちなのが、いわゆる銀マットだ。 確かに何も敷かないよりはマシだが、 それだけで解決するケースは多くない。

まず、反発力がほとんどない。 体重を支える力が弱く、結局シートの凹凸を拾ってしまう。

段差や継ぎ目を吸収できないため、 寝袋の中綿が潰れる問題も根本的には解決しない。

さらに、断熱性能も限定的だ。 アルミ蒸着による反射効果はあるが、 実際には冷気は普通に伝わってくる。

結果として、 「冷えにくくなった気はするが、寒さは残る」 という中途半端な状態になりやすい。

ここで重要なのは、 寒さの原因が寝袋の厚み不足ではない、という点だ。

下方向の断熱と体圧分散ができていない限り、 どれだけ分厚い寝袋を使っても、 寒さの問題は解消されにくい。

実際に起きること③「寝返りのたびに目が覚める」

沈まない=楽、ではない

マットなし、もしくは簡易的なマットで寝ると、 「沈まないから楽そう」という印象を持ちやすい。

だが実際は、その逆になることが多い。

まず、全体的に硬い。 体の一部だけに圧が集中しやすく、 自然な姿勢を保ちにくい。

次に、動くたびに音が出やすい。 シートの軋みや素材同士の擦れが、 思った以上に気になる。

そして何より、 体が落ち着かない。

どこかが当たっている感覚、 少しズレると違和感が出る感覚が続き、 無意識に寝返りの回数が増える。

結果どうなるか

こうなると、眠れないというより、 眠りが浅くなる。

何度も目が覚めるわけではなくても、 寝返りのたびに意識が浮上し、 深い睡眠に入りにくい。

朝になると、 「ちゃんと寝たはずなのに体が重い」 という状態になる。

疲れが取れていない。 回復していない。

車中泊で一番きついのは、 この「回復しないまま朝を迎える」感覚だと思っている。

一泊だから耐えられたとしても、 翌日の行動や集中力に確実に影響が出る。

ここで問題になるのは、 眠れたかどうかではない。

体が回復したかどうかだ。

実際に起きること④「寝袋や車の評価まで下がる」

本当は悪くない装備が疑われる

マットなし、もしくは不十分なマットで眠れなかった場合、 次に起きやすいのが「装備への疑念」だ。

まず疑われるのは、寝袋。

「この寝袋、思ったより寒いな」 「冬対応って書いてあったのに」

次に、車。

「やっぱり狭い」 「車中泊ってこんなに落ち着かないものなのか」

そして最終的に、

「車中泊自体が自分には向いていないのかもしれない」

という結論に行き着きやすい。

ここが一番もったいないポイントだと思っている。

原因はマットだった、という後出し真実

後から振り返ると、 問題の中心は寝袋でも車でもない。

多くの場合、 「下からの不快感」を処理できていなかっただけだった。

段差、硬さ、冷気。

これらをマットが受け止められていなかったことで、 本来の性能が発揮されなかった。

寝袋は、下から潰れて寒くなる。

車は、フラットに見えても体に合わない。

結果として、 悪くない装備が「合わない装備」に見えてしまう。

評価を間違えると、 次の判断もズレる。

本当はマットを変えれば解決する話なのに、 寝袋を買い替えたり、 車中泊そのものを避けてしまったりする。

マットは地味だが、 評価の土台になる装備だ。

ここを外すと、 他の装備まで巻き込んで評価を下げてしまう。

それが、 マットを軽視したときに一番怖い点だと思っている。

銀マットだけで車中泊すると、どこが限界か

銀マットが向いている場面

銀マット自体が「ダメな装備」というわけではない。 用途を限定すれば、今でも十分に役割はある。

  • 荷物やクーラーボックスの下に敷く
  • 地面や床からの冷気を一時的に遮断する
  • 防災用・非常用として最低限の断熱を確保する

軽くて安く、壊れにくい。 その特性から、サブ用途や緊急用としては非常に優秀だ。

ただし、それは「寝るための装備」とは別の話になる。

車中泊で厳しい理由

銀マットだけで車中泊をすると、 次第に限界がはっきりしてくる。

  • 段差処理ができない
  • 体圧分散がほとんどない
  • 長時間の睡眠に耐えない

車内には、シートの継ぎ目や微妙な傾斜が必ずある。

銀マットは薄く、反発力もないため、 それらの凹凸を「ならす」ことができない。

結果として、 体の一部に圧が集中し、 寝返りのたびに違和感が出る。

また、断熱性能も「一瞬なら効く」レベルに近い。

一晩中体重をかけ続けると、 冷気は普通に伝わってくる。

短時間の仮眠や緊急対応なら成立するが、 「翌朝までしっかり休む」という用途には向いていない。

銀マットは、 役割を正しく切り分けて使う装備だ。

車中泊の主役として期待すると、 その差がはっきりと表に出てくる。

「一泊なら我慢できる」は本当か?

一泊こそダメージが出る

「一泊だけなら何とかなるだろう」 車中泊やキャンプで、よく出てくる考え方だ。

ただ、実際に体に出る影響は、 一泊だからこそ分かりやすい。

  • 睡眠が浅く、回復しきらない
  • 腰や肩に違和感が残る
  • 起きた瞬間から体が重い

二泊三泊になると「疲れた」という自覚が先に立つが、 一泊の場合は「ちゃんと寝たはずなのに調子が悪い」 という形で現れやすい。

これは我慢できたかどうかではなく、 回復できたかどうかの問題だ。

釣り・キャンプ・移動日に直撃する

一泊の車中泊は、 たいてい翌日に何か予定がある。

  • 朝から釣りをする
  • キャンプの設営や撤収がある
  • そのまま長距離を運転する

そのタイミングで、 睡眠不足や体の違和感が残っていると、 影響はかなり大きい。

集中力が落ち、 判断が遅れ、 普段なら気にならないミスが増える。

「一泊だから我慢できた」は、 翌日の行動を考えると、 必ずしも正解とは言えない。

一泊だからこそ、 きちんと回復できる構成にしておく必要がある。

マットを入れたら何が変わるのか(簡潔に)

ここまで読んで、「じゃあマットを入れると何が変わるのか?」が 気になっていると思う。

細かいスペックや製品比較は別の記事に任せて、 ここでは起きる変化だけを整理する。

段差が消える

まず一番大きいのは、体に当たり続けていた段差が気にならなくなること。

シートの継ぎ目や微妙な傾斜、硬い部分が、 マットによって面として受け止められる。

「どこかが当たって落ち着かない」という感覚が消えるだけで、 寝る姿勢を探し続ける時間がなくなる。

冷気が遮断される

マットが入ることで、下から伝わる冷えがはっきり減る

体重で潰れてしまっていた寝袋の下方向の断熱を、 マットが肩代わりする形になる。

結果として、 「寒くて目が覚める」 「背中だけ冷える」 といった症状が出にくくなる。

寝袋が本来の性能を出す

マットを入れて初めて、寝袋は本来の仕事ができる。

保温力が必要な部分はマットが支え、 寝袋は上方向の暖かさに集中できる。

寝袋を買い替えなくても、 「思っていたより暖かい」と感じるケースが多いのはこのためだ。

マットは快適装備というより、 寝袋の性能を成立させる土台に近い存在だと考えていい。

ここから先は、

  • マット全体の考え方を整理したベース記事
  • 実際に使っているQUICK CAMPマットのレビュー

で、もう少し具体的に掘り下げている。

安く済ませたい人ほど、ここは外すな

できるだけお金をかけずに車中泊やキャンプを始めたい。 その気持ちはごく自然だし、実際に削れる装備も多い。

ただし、削っても成立する装備と、 削ると後悔しやすい装備ははっきり分かれる。

削っていい装備

まず、予算を抑えたいなら、ここは無理に盛らなくていい。

  • 雰囲気ギア
    見た目を良くする装備。なくても泊まれる。
  • ランタン
    必要最低限の明かりが一つあれば十分。
  • 小物類
    便利だが、代替が効くものが多い。

これらは「あると楽しい」「あると快適」だが、 なくても睡眠そのものは成立する装備だ。

削ると後悔しやすい装備

一方で、ここを削ると体感的なダメージが直撃する。

  • マット
    段差・冷気・体圧の問題をまとめて処理する土台。
  • 寝袋
    上方向の保温を担う主役。質が低いと回復できない。
  • 足元の断熱
    冷えが残りやすく、睡眠の質を落としやすいポイント。

ここを削ると、 「眠れなかった」 「体が痛い」 「寒かった」 といった不満がそのまま残る。

結果として、 「車中泊はきつい」 「キャンプは合わない」 という誤った結論に行き着きやすい。

節約するなら、見た目や便利さから削る体を回復させる装備は最後まで残す

安く済ませたい人ほど、 この順番だけは間違えないほうがいい。

まとめ|マットなし車中泊は「判断ミス」

  • 寝袋の問題ではない
  • 車の問題でもない
  • マットを抜いた判断の問題

車中泊でつらくなる原因は、装備そのものよりも、 どこを削ったかにあることが多い。

「一晩くらいなら大丈夫だろう」

この判断は、だいたい後悔する。

翌朝に残るのは、 眠れなかった感覚や、 体の重さ、 そして「やっぱり無理だった」という印象だ。

マットは贅沢品ではない。
失敗を避けるための、最低限の装備だ。

素人だけど、検証して最適は選ぶ。

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この記事を書いた人

SUP釣り・海釣り・管釣り・キャンプを“素人視点で検証する”アウトドアブロガーです。
安全・快適・コスパをテーマに、実際に使ったギアだけをレビューしています。

SUPでの落水、磯の夜釣りの失敗、クーラーボックスや虫対策の検証など、一次体験ベースの情報を発信中。

素人だけど、検証して道具は選ぶ。

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