車中泊・キャンプのマットは「寝心地」で選ばない|段差を消すための判断整理

キャンプや車中泊で眠れない原因は、寒さや寝袋の性能だけとは限らない。

実際には、地面や車内の凹凸・段差が、じわじわと睡眠の質を削っているケースが多い。

  • 地面の小石や傾き、車内シートの段差や隙間
  • 一見気にならない凹凸が、数時間かけて体に負担をかける
  • 結果として、途中で目が覚めたり、朝に疲れが残る

このとき、先に効いてくるのは寝袋や布団ではなく、マットだ。

どれだけ暖かい寝袋を使っていても、下からの違和感や圧迫があると、体はうまく休まらない。

  • 寝袋や布団は「上から包む」装備
  • マットは「下を整える」装備

眠れない原因の多くは、実は下から来ている

だからマット選びでは、「どれだけ暖かいか」や「ふかふかしているか」よりも、 まずは段差や凹凸をどれだけ処理できるかを見るべきだと考えている。

このページでは、マットを「保温補助」ではなく、 睡眠環境を成立させるための土台として捉え直していく。

目次

マットの種類は大きく3つしかない

キャンプや車中泊で使われるマットは、種類が多そうに見えて、 実は大きく分けると3タイプしかない。 まずは、それぞれの役割と限界を整理しておく。

クローズドセルマット(銀マット系)

いわゆる銀マットやフォームマットと呼ばれるタイプ。 発泡素材をそのまま使った、もっともシンプルなマットだ。

  • 軽い・安い・壊れない
  • 広げるだけで使える
  • 水や湿気を気にせず扱える

一方で、段差や凹凸を吸収する力は弱い。 地面の硬さや、車内シートの段差はそのまま体に伝わりやすい。

  • 地面の小石や傾きが気になりやすい
  • 車中泊のシート段差はほぼ解消できない
  • 長時間寝ると腰や背中が痛くなりやすい

断熱目的としては一定の効果があるが、 「段差処理」という観点では力不足になりがちだ。

特に車中泊では、 正直つらい場面が多いというのが実感に近い。 補助的に敷くならアリだが、 これ一枚で快適に眠るのは難しいと感じている。

インフレータブルマット(自動膨張タイプ)

バルブを開けると内部に空気が入り、自然に膨らむタイプのマット。 段差吸収と扱いやすさのバランスが良く、 現在のキャンプ・車中泊では主流になっているタイプだ。

  • 段差吸収と寝心地のバランスが良い
  • 地面・車内の凹凸を現実的に処理できる
  • 設営が簡単で、失敗しにくい

価格帯はかなり幅があるが、 5,000円前後でも実用レベルのモデルは十分存在する。 極端な高級モデルでなくても、 「ちゃんと眠れる」ラインには届く。

車中泊・オートキャンプとの相性が特に良く、 「これがないと始まらない」と感じる人も多い。

寝袋や布団の性能を活かせるかどうかは、 このマットが担っている部分が大きい。

エアマット(空気注入式)

ポンプや息で空気を入れて使う、完全エア式のマット。 厚みだけで見れば、最も段差処理能力が高いタイプだ。

  • 厚みは最強クラス
  • 地面の凹凸をほぼ感じなくなる
  • ベッドに近い感覚になることもある

一方で、使ってみると好みがはっきり分かれる。

  • 寝返り時に揺れやすい
  • ギシギシと音が出るモデルもある
  • 冬場は冷気を感じやすい

また、空気量の調整を誤ると 「柔らかすぎて逆に疲れる」ということも起きやすい。

段差処理性能は高いが、 快適さは人によって評価が分かれるタイプだ。


ここで重要なのは、 「どれが最強か」ではなく「役割が違う」という点だ。

軽さを取るのか、段差処理を取るのか、 設営の楽さを取るのか。 使うシーンによって、最適解は自然と変わる。

なぜ車中泊ではインフレータブルが強いのか

フラットシートにならないデリカD5の2、3列目シートの写真

車中泊でマット選びが重要になる理由は、地面よりもむしろ 車内特有の段差や隙間にある。

シートを倒してスペースを作っても、 多くの車は完全なフラットにはならない。 段差・傾斜・シートの継ぎ目が必ず残る。

この「少しの凹凸」が、実際の睡眠では大きな差になる。

  • 背中や腰にピンポイントで当たる
  • 寝返りのたびに違和感が出る
  • 一晩我慢できても、翌朝に疲れが残る

インフレータブルマットが車中泊で強い理由は、 この問題を現実的な方法で処理できる点にある。

  • シートの段差や隙間を面で吸収できる
  • 硬すぎず、沈みすぎない反発力がある
  • 凹凸を「無かったこと」に近づけられる

エアマットほど沈まず、 クローズドセルほど硬くない。 この中間の性質が、 車中泊ではちょうどいい。

特に、 完全フラットにならない車では効果が分かりやすい。

僕が乗っているデリカD5のように、 シートアレンジをしても細かな段差が残る車では、 マットがそのまま「寝心地」を決める要素になる。

インフレータブルマットは、 車の構造そのものを変えることはできない。 ただし、 寝る側の条件を大きく底上げしてくれる

「この車はフラットじゃないから無理」 で終わらせずに済むのは、 このタイプのマットがあるからだ。

価格帯で見る「現実的なマットの境界線」

マット選びでは、種類だけでなく価格帯による差もかなりはっきり出る。

ここでは「高い・安い」という印象論ではなく、 実際に使えるかどうかという視点で整理しておく。

2,000円以下のマットで起きやすいこと

2,000円以下のマットは、とにかく価格の安さが魅力になる。 ただし、その分わかりやすい弱点も出やすい。

  • 厚みが足りず、段差を吸収しきれない
  • 体重がそのまま床やシートに伝わる
  • 結果として、腰や背中に違和感が残りやすい

この状態になると、 本来は快適なはずの寝袋や布団まで評価が落ちてしまう。

「寝袋が合わない」と感じていても、 原因はマット側にあるケースは多い。

5,000円前後が一気に「使える」理由

5,000円前後になると、 マットとしての性格がはっきり変わってくる。

  • 段差を処理できるだけの厚みが出る
  • 沈み込みすぎない反発力がある
  • 使用後にきちんと元に戻る復元力がある

この価格帯を超えると、 車中泊でもキャンプでも「眠れる」ラインに入ってくる。

コストと性能のバランスが一番取りやすく、 主戦力として使えるゾーンだと感じている。

1万円以上で何が変わるか

1万円を超えると、 マットの方向性は「快適さ」よりも別の価値にシフトしていく。

  • 軽量化され、持ち運びが楽になる
  • 素材の質が上がり、肌触りや耐久性が向上する
  • 収納サイズが小さくなり、パッキングしやすくなる

これらは明確なメリットだが、 必須かどうかは使い方次第でもある。

車移動が前提で、収納スペースに余裕がある場合は、 5,000円前後のマットでも十分に成立する。

安いからダメ、高いから正解、という話ではない。

ただし、 「使える・使えない」の境界線は確実に存在する。 価格帯ごとの役割を理解したうえで選ぶと、 マット選びの失敗はかなり減らせる。

マット選びでよくある失敗パターン

マットは「とりあえず敷くもの」と軽く見られがちだが、 実際にはここで判断を誤ると、睡眠の質が一気に崩れる。

特に多い失敗パターンを、実感ベースで整理しておく。

寝袋にお金をかけて、マットをケチる

「寒さ対策=寝袋」という発想から、 寝袋だけを高性能なものにして、 マットは最低限で済ませてしまうケースは多い。

ただ、段差や硬さを処理できていない状態では、 どれだけ寝袋が良くても、身体は休まらない。

結果として、 「寝袋は暖かいはずなのに眠れない」 という状態になりやすい。

「フラットになるはず」と期待しすぎる

車中泊では特に、 「シートを倒せばフラットになる」 と想像してしまいがちだ。

実際には、

  • シートの段差
  • 継ぎ目の隙間
  • 微妙な傾斜

こうした凹凸は必ず残る。

マットなしで解決しようとすると、 期待と現実の差が大きくなり、 「思っていたよりつらい」という結果になりやすい。

車種との相性を考えていない

車内の形状は車種ごとにかなり違う。

完全にフラットになる車もあれば、 段差や隙間が前提の車もある。

それにもかかわらず、 「車中泊用マット」という言葉だけで選んでしまうと、

  • 幅が合わない
  • 厚みが足りない
  • 段差を吸収しきれない

といったズレが起きやすい。

ここで重要になるのが、 「どの車で、どんな凹凸を処理したいのか」という視点だ。

このあたりは、 実際に使っているマットの具体例を見るとイメージしやすい。

実際に使っているマットの位置づけ

ここでは、実際に使っているマットについて、 あくまで位置づけだけを整理しておく。

細かい使用感や比較レビューは別の記事で扱うため、 このセクションでは「どのラインにあるマットか」を明確にする。

  • 価格帯: 5,000円前後
  • 種類: インフレータブルマット(自動膨張タイプ)
  • 主な役割: 車内や地面の段差を吸収し、寝心地の下限を引き上げること

このマットは、

「これがないと正直つらい」
「これがあれば、車中泊が成立する」

というラインを、はっきり超えてくる存在だと感じている。

一方で、

  • 最軽量を狙ったモデルではない
  • 収納サイズの小ささを最優先したものでもない

という立ち位置でもある。

あくまで、

「段差処理を現実的に解決するためのマット」

として見ると、役割が非常に分かりやすい。

キャンプ・釣り・防災でマットの役割は変わる

マットは「寝心地を良くするための贅沢品」と思われがちだが、 実際には使うシーンによって役割がはっきり変わる装備だ。

同じマットでも、目的が違えば評価軸も変わる。

キャンプ:快適性を作る装備

キャンプでは、マットは快適性を底上げする役割が強い。

地面の凹凸や冷えを遮断し、 「ちゃんと眠れる状態」を作ることで、 翌日の疲労感が大きく変わる。

特に連泊や家族キャンプでは、 マットの有無がキャンプ全体の満足度に直結しやすい。

釣り前泊:体力を残す装備

釣りの前泊では、 マットは快適性よりも体力維持の装備として機能する。

睡眠の質が落ちると、 朝の集中力や判断力にそのまま影響が出る。

釣果以前に、 「人が先に消耗しない」ための装備として、 マットの役割はかなり大きい。

防災:床で寝ないための装備

防災の視点では、 マットは「快適に眠るため」ではなく、 床で直接寝ないための装備になる。

冷え、硬さ、段差は、 長時間続くほど体への負担になる。

寝袋や毛布があっても、 下からの影響を遮れなければ、 休息としては不十分になりやすい。

こうして整理すると、

マットは贅沢品ではなく、
状況ごとに役割を変えながら機能する「基礎装備」

だと考えたほうが実態に近い。

このページは「マット選びの母艦」

このページでは、特定のマットをおすすめしたり、 一つの正解を提示することはしていない。

ここで扱っているのは、 「どれを買うか」ではなく、 どう考えて選ぶかという前提だ。

  • 結論は出さない
    使用環境や体格、車種や季節によって、 マットの最適解は簡単に変わる。
  • 判断軸だけ置く
    段差処理・厚み・価格帯・用途といった、 選ぶときに迷わなくなる軸を整理している。
  • 条件が変われば最適解も変わる
    キャンプ、車中泊、釣り前泊、防災では、 マットに求める役割そのものが違う。

マット選びは装備の話だが、本質は「考える時間を減らして、すぐ使える状態を作ること」にある。

素人だけど、検証して最適は選ぶ。

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この記事を書いた人

SUP釣り・海釣り・管釣り・キャンプを“素人視点で検証する”アウトドアブロガーです。
安全・快適・コスパをテーマに、実際に使ったギアだけをレビューしています。

SUPでの落水、磯の夜釣りの失敗、クーラーボックスや虫対策の検証など、一次体験ベースの情報を発信中。

素人だけど、検証して道具は選ぶ。

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