デリカD5での車中泊は、「本当に寝れるのか?」という不安を持たれやすい。
シートを倒しても完全なフラットにはならず、段差や隙間が残るためだ。
それでも実際には、いくつかのポイントを押さえれば、 家族でも安心して眠れる車中泊環境を作ることができる。
今回のキャンプでは、冬のライトキャンプという条件の中で、 子どもと妻がデリカD5で車中泊をし、一泊二日を快適に過ごした。
この記事では、デリカD5(7人乗り仕様)を使った車中泊について、
- どんな条件で成立したのか
- シートアレンジの具体的な手順
- 必須だった装備と、なくても問題なかったもの
- 実際の寝心地や家族の感想
といった点を、写真と実体験をもとに整理していく。
今回の車中泊条件
まず最初に、今回の車中泊が成立した前提条件を整理しておく。 車中泊の快適さは、装備以前に「条件」に大きく左右されるためだ。
車両条件

使用した車両は、デリカD5の7人乗り仕様。 2列目は左右独立シートで、中央に通路があるタイプになる。
この構成は、シートアレンジ時に完全なフラットにはならないが、 荷物の逃がし場所を確保しやすく、車中泊向きの特徴も持っている。
利用シーン

今回の利用シーンは、冬のライトキャンプ。 一泊二日で、場所は関東平地。山間部ではない。
気温はおおよそ10~16℃。 天候は曇りが中心で、雨は1時間に1mm程度が断続的に降る予報だった。
厳冬や強風といった過酷な条件ではなく、 「装備を盛りすぎると重くなりやすい」ラインの環境だった。
誰が寝たか
車中泊をしたのは、子どもと妻。 筆者自身は、別の構成で就寝している。
そのため、ここで扱う車中泊構成は、 大人と子どもが安心して眠れるかどうか、という視点を中心にしている。
デリカD5は「完全フラットじゃない」から工夫が必要

デリカD5は車中泊に向いていると言われることが多いが、 シートを倒しただけで快適に眠れる車ではない。
ここを誤解したまま準備を進めると、初回で失敗しやすい。
シートを倒しただけだと正直つらい
2列目・3列目のシートを倒すと、見た目上はそれなりにフラットに見える。 ただ、実際に横になってみると、 腰や背中に違和感を感じやすく、長時間寝るのは厳しい。
数十分の仮眠なら問題ないが、 一晩寝る前提だと「これで朝までいけるか?」という不安が残る状態になる。
7人乗り特有の段差と隙間
7人乗り仕様のデリカD5は、 2列目が左右独立シートで中央に通路がある構成になっている。
この構造のため、 シートを倒すと中央部分に隙間ができ、 さらに2列目と3列目の高さにも微妙な段差が生じる。
体格や寝る向きによっては、 この段差や隙間が直接体に当たり、 寝姿勢が安定しない原因になる。
「このまま寝る」はおすすめしない理由

デリカD5は走行性能や居住性に優れた車だが、 車中泊用に完全なベッド構造が組まれているわけではない。
シートを倒しただけの状態で無理に寝ようとすると、 途中で何度も目が覚めたり、 朝起きたときに体が重く感じたりしやすい。
だからこそ、 「デリカはフラットにならない」という前提を受け入れた上で、 その段差や隙間をどう解消するかを考える必要がある。
デリカD5 車中泊のシートアレンジ手順
ここからは、今回実際に行ったデリカD5(7人乗り)での 車中泊シートアレンジ手順を整理する。
特別な加工や工具は使っていない。 純正シートの可動範囲と、車内スペースをそのまま活かした構成だ。
ステップ①|2列目ヘッドレストを外し、座席を前にずらす
まず、2列目シートのヘッドレストを左右とも外す。
ヘッドレストはこのあと真ん中の隙間に収納するため、 車外には出さずに一旦確保しておく。
次に、2列目シート全体をできるだけ前方へスライドさせる。 この時点では、まだシートは倒さない。
この操作で、後方スペースに余裕を作るのが目的だ。
ステップ②|2列目シートを倒し、3列目と高さを揃える

2列目シートをそのまま後方へ倒す。 完全なフラットにはならないが、 3列目シートと高さが近づく位置まで倒せる。
この段階で、 2列目と3列目の間にわずかな段差が生じるが、 後工程でマットを敷く前提なので問題はない。
ステップ③|3列目ヘッドレストを外し、後方へ倒す

続いて、3列目シートのヘッドレストを外す。 こちらも後ほど収納スペースとして活用する。
ヘッドレストを外した状態で、 3列目シートを後方へ倒し、可能な限りフラットに近づける。
デリカD5はこの状態でも完全なフラットにはならないが、 寝床のベースとしては十分な広さが確保できる。
ステップ④|中央通路にヘッドレスト・不要荷物を収納

7人乗りデリカD5の特徴である 2列目中央の通路スペースを活用する。
外したヘッドレストや、 夜間に使わない荷物をこの通路部分にまとめて収納する。
このスペースを埋めることで、 マットを敷いた際に段差や違和感が出にくくなり、 結果的に寝心地が安定する。
ここまでの手順で、 車中泊用のベースとなるシートアレンジは完成だ。
インフレータブルマットで「寝れる」に変わる
デリカD5で車中泊をする場合、 シートアレンジだけでは「寝られる状態」にはならない。 ここで評価を決定的に変えるのが、インフレータブルマットの存在だ。
なぜマットが必須なのか

デリカD5は、2列目・3列目を倒しても完全なフラットにはならない。 段差やわずかな傾斜、シートの硬さがそのまま残る。
短時間横になるだけなら耐えられても、 一晩寝る前提ではかなりつらい。 この状態で「車中泊は無理だった」と判断してしまう人も多いと思う。
インフレータブルマットを敷くことで、 これらの凹凸がほぼ気にならなくなり、 評価が一気に「寝れない」から「普通に寝れる」に変わる。
QUICK CAMPのマットを使っている理由

僕が使っているのは、QUICK CAMPのインフレータブルマットだ。 車中泊用として選んだ理由はシンプルで、 厚みと扱いやすさのバランスが良かったからだ。
完全にフラットにならないデリカの床でも、 体が沈み込みすぎず、 段差を自然に吸収してくれる感覚がある。
2枚でぴったり収まる実際

7人乗りのデリカD5では、 このマットを2枚並べると、2列目から3列目にかけてほぼぴったり収まる。
2列目中央の通路部分も、 マットを敷いてしまえば気にならなくなり、 寝返りを打っても違和感は少なかった。
「デリカは中央が空いているから寝にくい」という印象は、 マットを敷いた時点でほぼ解消される。
空気の入れ方(ポンプ不要)

このインフレータブルマットは、 空気入れ用のポンプは必要ない。
バルブを開けてしばらく放置しておくと、 自然に空気が入り、ある程度まで膨らむ。 あとは好みに応じて少し空気を足すか、 そのままバルブを閉じるだけで使える。
設営に手間がかからず、 撤収時も空気を抜いて丸めるだけなので、 車中泊との相性はかなり良いと感じている。
寝袋を敷いたら完成|実際の寝心地

シートアレンジとマットの設置が終わったら、 あとは寝袋を敷くだけで車中泊の準備は完了する。
今回の構成では、 「寝るために何かを我慢する」感覚はほとんどなかった。 ここでは、実際に使った寝袋と、 その寝心地について整理しておく。
使っている寝袋(冬用)

今回、家族全員が使ったのは冬用の寝袋だ。 メーカーはコールマンで、 秋から冬にかけて使うことを想定したモデルを選んでいる。
車内という比較的密閉された空間と組み合わせることで、 過剰な防寒装備は必要なかった。
寒さ・暑さの体感

気温はおおよそ10〜16度。 この条件では、寒さを感じることはほとんどなかった。
むしろ、服装の調整をしないと 少し暑く感じる場面もあったようだ。
車中泊の場合、 外気温そのものよりも、 寝袋と服装のバランスが重要だと感じた。
家族のコメント(一次情報)
- 寒くなかった
- テントより静かに感じた
- 夜中に起きることなく、朝までぐっすり眠れた
- 「またこのスタイルでキャンプに行きたい」
特に印象的だったのは、 「安心して寝られた」という感覚だった。
スペックや数値よりも、 朝まで途切れず眠れたという事実が、 この構成の答えになっている。
車中泊が快適になる+α装備

今回の車中泊は、最低限の装備だけでも十分成立していた。 ただ、実際に過ごしてみると、 「なくても困らないが、あると確実に快適になる装備」もいくつか見えてきた。
ここでは、必須装備ではないが、 快適さや安心感を一段引き上げてくれた+αの要素を整理しておく。
網戸(換気と虫対策)

2列目の窓とバックドアに専用の網戸を付けることで、 車内の空気を自然に入れ替えられる。
冬キャンプでは虫の心配は少ないが、 換気できる安心感は想像以上に大きい。 少し窓を開けられるだけで、 車内のこもり感がかなり軽減された。
気温や季節によっては必須ではないが、 通気を確保できる選択肢があるというだけで、 心理的な余裕が生まれる装備だと感じた。
ウォールポケット系(収納)

車中泊では、細かい物の置き場に意外と困る。 スマホ、ライト、ティッシュ、飲み物など、 「すぐ使いたいが、床には置きたくない物」が多い。
ウォールポケットがあると、 これらを手の届く位置にまとめて収納できる。 探す動作が減るだけで、 夜間のストレスはかなり小さくなる。
絶対に必要な装備ではないが、 一度使うと「戻れない」系の快適装備だと思う。
リアトレイの使い道

バックドア側に取り付けるリアトレイは、 小物の仮置きや、翌朝すぐ使う物の置き場として便利だった。
床に直接置くと、 寝袋やマットの邪魔になりやすいが、 トレイがあるだけで動線が整理される。
特別な使い方をしなくても、 「とりあえず置ける場所」があること自体が、 車中泊ではかなり効いてくる。
運転席を収納スペースとして使う

車中泊中、運転席と助手席は基本的に使わない。
そのため、ここを荷物置き場として割り切って使うと、 後部スペースにかなり余裕が生まれる。
使わないバッグや上着、翌朝まで不要な物をまとめて置いておくだけで、 寝るスペースがすっきりする。
「全部後ろに詰め込まない」という発想は、 車中泊を楽にする小さなコツのひとつだと思う。
これらの装備は、 なくても車中泊は成立する。 ただ、あることで、 夜の過ごしやすさや翌朝の快適さが確実に変わる。
必須かどうかではなく、 自分がどこまで快適さを求めるか。 その判断材料として、 こうした+α装備を考えておくと選びやすくなる。
冬キャンプ・防災でも使える車中泊構成

今回の車中泊構成は、あくまでキャンプ用途として組んだものだが、 振り返ってみると、防災の視点でも十分に成立する要素を多く含んでいた。
ここでは、冬キャンプでの実体験をベースにしつつ、 防災に置き換えた場合にどう考えられるかを整理しておく。
冬キャンプで車中泊が強い理由
冬のキャンプでは、寒さ対策が最優先になりやすい。 その点、車中泊は外気の影響を受けにくく、 風や雨をほぼ遮断できるという強みがある。
今回のように気温が10~16℃程度であれば、 冬用の寝袋とマットを組み合わせるだけで、 特別な暖房器具がなくても快適に眠ることができた。
テント設営や結露処理といった手間が減る点も、 冬キャンプでは大きなメリットだと感じている。
防災で置き換えた場合の考え方
この構成を防災に置き換えて考えると、 いくつかの前提条件が見えてくる。
- 車が使用できる状態であること
- 車を停められる平坦な場所が確保できていること
この条件が成立していれば、 冬季においては車内が一時的なシェルターとして機能する可能性は高い。
特に、家族単位での避難や自宅待機が難しい状況では、 「安心して横になれる空間」を確保できる点は大きい。
停電時にどうなるか
停電を想定した場合でも、 冬であれば電気への依存度は比較的低く抑えられる。
防寒は服装と寝具で対応でき、 最低限の照明や充電が確保できれば、 短期間であれば大きな支障は出にくい。
もちろん、電源が使えるに越したことはないが、 「電気がないと成立しない構成」にしないという考え方は、 防災の視点でも有効だと感じている。
キャンプと防災では目的は異なるが、 判断の組み立て方は共通している部分が多い。
条件を整理し、 成立するラインを見極めたうえで選択する。 その積み重ねが、 車中泊という手段の現実的な強さにつながっている。
デリカD5 車中泊は「判断が9割」

デリカD5は、シートを倒しただけで完全にフラットになる車ではない。
それでも、条件と使い方を整理すれば、車中泊は十分に成立する。
重要だったのは、装備を増やすことではなく、 どこで成立させ、どこを割り切るかを先に決めることだった。
- 完全フラットでなくても、マットで解決できる
- 装備を盛らなくても、快適さは確保できる
- 条件が変われば、答えも変わる
今回の条件では、無理をする場面は一つもなかった。
結果として残ったのは、 寒さでも不便さでもなく、 快適さと楽しさだけだった。
素人だけど、検証して最適は選ぶ。
